通訳案内士検討会、自治体などから意見聴取、次回から議論開始
観光庁は3月6日、第6回の「通訳案内士のあり方に関する検討会」を開催し、東京都など3つの自治体と、通訳案内士と訪日外国人旅行者のマッチングサイトを運営するトラベリエンスから、現在の取り組みや課題、今後の制度改善などに関する意見を聴取した。関係各方面からの意見徴収は今回が最後で、次回以降は取りまとめに向けた議論に入る。
この日は東京都、和歌山県、京都市の担当者がそれぞれの取り組みを報告した。東京都は各種の事業において通訳案内士を活用していることや、複数施設で通訳案内士の入場料を減免していることなどを説明。和歌山県は総合特区計画が認められたことを受け、有償で高野・熊野地区を案内できる特区通訳案内士登録制度を設けていることを報告した。京都市は、特区制度を活用して京都の観光情報に特化した「京都市認定通訳ガイド」を育成する計画を提示。認定通訳ガイドを活用したい旅行会社などに向けて、「認定ガイド人材バンク」を開設する考えも示した。
3自治体はいずれも、登録更新制度や研修などによる通訳案内士の質の担保、就業機会の拡大、専門的知識をもつ通訳案内士と旅行者のマッチング環境の改善など、広範な課題を挙げ、関係各方面に協力を要請した。京都市は、地域や言語によってはガイドを確保できない現状や、取り締まりが難しいことを踏まえて、「(通訳案内士の)資格取得者に業務を限定することに限界があるのでは」と問題提起。「国ではなく特区が前に出て、ガイド育成をおこなったほうが良いのでは」との考えも示した。
この日はそのほか、トラベリエンス代表取締役社長の橋本直明氏が、通訳案内士と訪日外国人旅行者のマッチングサイト「トリプルライツ」における取り組みを説明。今後の通訳案内士制度のあり方については、有資格者と無資格者を合わせた上でランク付けをおこなう、新たな格付け制度を設けることを提案した。
次回会合は3月23日に開催する予定。これまでに聴取した意見をもとに事務局が論点を整理し、次年度以降に議論する項目を決定する。4月以降は3回程度の会合を開き、提言の取りまとめに向けた議論をおこなう。