「鳴門グランドホテル」のナルト興業が破産申請、負債総額12億円
徳島県鳴門市で宿泊施設を経営する有限会社ナルト興業は2月26日、徳島県地方裁判所に破産を申請し、同日破産開始決定を受けた。東京商工リサーチ(TSR)によると、負債総額は約12億円で、破産管財人は朝田啓祐弁護士事務所の朝田啓祐弁護士。
同社は2003年に広瀬商事有限会社の営業部門を継承し、「鳴門グランドホテル」と「活魚料理鯛丸」の運営を開始。TSRによると、鳴門グランドホテルは当地で知名度が高く、婚礼部門を併設。有名タレントのディナーショーにも実績があったという。
2005年頃には「ホテルロータス」を開業、2011年10月には「活魚料理鯛丸」を改築し、鳴門グランドホテルの姉妹館として「鯛名所鯛丸」をオープンするなど、積極的な設備投資で事業を拡大した。しかし、相次ぐ大型投資の一方、客足は思うように伸びず、同業他社との競合が年々激化。収益が悪化する中、取引先への支払いが遅延するなど資金繰りの悪化が表面化し、今回の措置となった。
同弁護士事務所によると、宿泊施設は現在営業を停止。2月26日以降予約受付もおこなっておらず、すでに予約されていたものについては、宿泊施設側から旅行者にキャンセルの連絡をしているという。
なお、徳島県ではナルト興業の破産手続開始を受け、同社の破産による連鎖倒産を防止するための措置を発表。2月27日付でナルト興業を県の中小企業向け融資制度「経済変動対策資金」に関わる「倒産企業」として指定し、50万円以上の債権がある中小企業者を資金の融資対象にした。運転資金として5000万円以内の融資をおこなうもの。商工労働部内に特別相談窓口を設け、融資や解雇などに関わる相談を受け付ける。