海外旅行、先行き不透明も各社攻めの目標-ホールセール特集(1)

  • 2015年2月26日

 大手ホールセラーの2015年度上半期海外募集型企画商品が出揃った。2年連続で日本人の海外旅行者数が前年を割り込むなか、各社とも工夫を凝らし、マーケットの拡大と利益増加をねらう。市場のニーズをどのように商品に反映させ、先行きの不透明感が残るなか、どのようなアプローチで顧客の取り込みを進めていくのか。各社の商品内容と販売方針をまとめた。


各社、前年増の取扱人数見込む
イスラム国関連で不安要因も

JTBWV代表取締役社長の井上聡氏  「円安の影響は続くものの、増税の影響が一段落し、景況感も改善するのではないか」――JTBワールドバケーションズ(JTBWV)代表取締役社長の井上聡氏は、2015年度の市場環境をそう見通す。その上で、2015年度のルックJTBとノンブランドを合わせた取扱人数目標を前年比8%増の135万人と設定した。各方面とも前年増を見込み、特に中国については34%増と強気の予想だ。

 JTBWV以外の各社も前年度を上回る取扱人数を目標に掲げている。近畿日本ツーリスト個人旅行(KNT個人)は、東名阪合わせて人数も販売高も25%増をめざす。特にハワイへの期待は大きい。ジャルパックは「14年度比約4%増の24万人くらいをめざしたい」(代表取締役社長の二宮秀生氏)考えだ。また、ANAセールスは目標を10%増の11万3500人と設定。日本旅行は2015年度上期のみの発表だが、4%増の13万人を見込んでいる。

 各社とも前年度の低迷からの脱却をねらうが、いずれの目標もイスラム国による日本人人質事件が明るみに出る前の設定。その後事態は急変し、海外旅行市場全体への影響も懸念されている。実際のところ、「パリの新聞社襲撃テロ事件後、フランス商品に影響が出ている」と明かす旅行会社があるほか、「方面によっては軌道修正が必要になるかもしれない」と話す旅行会社もある。このイベントリスクがどこまで市場に悪影響を及ぼすか。不透明な部分があるのは否めない。