中部、2月17日に開港10周年-川上氏、旅客数は「回復基調」
中部国際空港は2月17日、開港10周年を迎えた。同空港によると、当日開催した記念セレモニーで、代表取締役社長の川上博氏は関係者や利用者、地域住民などに謝意を表明するとともに「10年の節目を、弊社は『第2の開港』と位置付け、今まで以上に安全かつ便利で、使い勝手の良い、皆様から『選んでいただける空港』をめざして、地域の皆様のご期待に応えるよう努力してまいります」とコメントした。
また、前日の会見では10年間の歩みを振り返り「10年間の前半と後半で明暗が分かれた」と語った。開港後の3年間は、愛知万博や地元地域の好景気を追い風に利用実績が好調に推移。しかし、2008年のリーマンショック以降、新型インフルエンザ、日本航空(JL)の経営破綻、東日本大震災、中国や韓国との外交問題などのイベントリスクが発生。旅客や貨物の落ち込みなどから路線撤退が相次ぎ「大きな影響を受けた」という。
2009年度の航空旅客数は前年比14%減の925万9322人と1000万人を割り、それ以降年々減少が続いていたが、11年の3%減、889万731人を底に回復に転じた。訪日外客の増加などもあり、13年度は7%増の987万1212人、14年度は12月までの9ヶ月間で前年並みの749万6496人。川上氏は「最近は旅客、貨物ともに回復基調にある」と語った。
さらに川上氏は路線誘致の取り組みについても言及。航空ネットワークの充実が基本使命とし、国際線では引き続き、核と位置づける中国、韓国、台湾、香港の近隣アジアの路線の保持と、成長が見込まれる東南アジアの路線の充実をはかる。長距離線は、米国西海岸やパリ、オセアニアへの直行便など「現在空白となっている路線の回復に重点を置く」考え。周辺地域の自治体や中部経済連合会、名古屋商工会議所などと協力しながらFSC、LCC問わずエアポートセールスを実施していると話した。
アウトバウンドに対してはビジネス利用の促進、韓国、中国方面の旅行需要回復、若者層への海外旅行活性化の施策を展開。インバウンドについては中部北陸9県による広域観光プロジェクト「昇龍道」のゲートウェイとして受入環境の整備に取り組んでおり、日本政府観光局(JNTO)の認定を受けた観光案内所も設置している。商業事業ではメディアタイアップや地域連携でのイベントを週末を中心に開催。おみやげ館のリニューアルオープンや免税店の拡大などもおこなっている。
川上氏はこうした取り組みをベースに「『開港時に皆様から寄せられた期待にあらためて応えること』、『地域の次の成長に貢献していく新たな役割を担うこと』という2つの意味合いにおいて決意を新たにしている」考えを表明。今後の中期的な計画については現在社内で検討を進めており、3月末に公開予定とした。
なお、2月17日のイベントでは特設サイトでの一般投票で募集した開港10年間10大トピックスを発表。開港5周年イベントで開催した「セントレア未来ポスト」で預かった「5年後の未来への手紙」約3000通の返送式、名古屋おもてなし武将隊の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康によるお菓子まきイベントなどを開催した。
このほか、中部では10周年記念イベントとして、2月21日、22日の2日間に「セントレアサンクスデー」を開催。同空港初めての試みとして、観光船でのセントレア周遊クルーズ、中部主催での親子航空教室、夜の滑走路見学ツアーや国内線出発制限エリア内での仮眠を含む夜の空港お泊り会をおこなう。なお、イベントはすべて事前募集で参加者を決定済みだ。