富山県、新幹線開業で首都圏からの誘客に注力、訪日にも意欲
3月14日の北陸新幹線開業を控える富山県は2月3日、都内で業界関係者向けに、最新の観光情報を提供する説明会を開催した。東京駅から金沢駅までを結ぶ北陸新幹線は、同県では富山駅、新高岡駅、黒部宇奈月温泉駅の3駅に停車。東京/富山間は最短で約2時間で結ばれることから、県や関係者は大きな期待を寄せている。
この日は同県観光・地域振興局観光課課長補佐の山下章子氏が登壇し、新幹線の開業が富山県の観光に与える影響について説明。これまでは上越新幹線と在来線特急の乗り継ぎにより、最短でも3時間11分かかっていた東京/富山駅は、開業後は最短で2時間8分にまで所要時間を短縮できることから、山下氏は首都圏からの大幅な訪問者増に期待を示した。同区間の年間の輸送能力は、現在の往復約600万席から約3倍に拡大する見通し。
観光資源としては、黒部ダムや高さ約20メートルの雪の壁が続く「雪の大谷」を擁する立山黒部アルペンルート、北陸3県では唯一の世界遺産である五箇山の合掌造り集落、9月におこなわれる祭り「おわら風の盆」などを紹介。富山湾の新鮮な魚介類を使用した、刺身やすしなどの魅力も強調した。
このほかには、同県が2013年秋、2014年の春秋に続いて個人旅行者に提案する、今春の体験型観光プログラム「大人の遊び、33の富山旅。」についても説明。プログラム開発プランナーを務めた木股浩氏が、「大人の知的好奇心を満たす旅」をテーマに企画した「生地の漁港にまったり浸る 灯台の夕日BAR&夕日カフェ」などのプログラムについて魅力を紹介した。同プログラムについてはハンドブック5万部を作成し、首都圏や関西、東海、北陸の鉄道駅や飲食施設、商業施設、書店などで配布する予定。
観光庁が従業員数10人以上の宿泊施設を対象に実施している宿泊旅行統計調査によれば、同県の2013年の宿泊者数は、前年比3.2%増の288万8000人。外国人については、富山/台北線の増便やビザ取得要件の緩和などにより、前年比59.0%増の12万9255人と大幅に増加した。最も宿泊者数が多かったのは台湾で67.6%増の5万6220人。以下は韓国、中国、香港、タイが続いている。
最も重要な観光資源の1つとして位置づける立山黒部アルペンルートについては、訪日団体観光客14万5314人のうち7割以上を台湾人が占める。観光課によれば「雪の大谷」の台湾での認知度は高く、そのほか香港人やタイ人などの伸びも大きいことから、今後も温暖な国々からの旅行者に対しては「キラーコンテンツ」として売り込みたいという。