HIS、14年10月期は売上・営利など4期連続過去最高-15年は燃油減に期待
エイチ・アイ・エス(HIS)の2014年10月期(2013年11月1日~2014年10月31日)の連結業績で、売上高(※総額)は前年比9.1%増の5232億4600万円、営業利益は34.3%増の159億600万円、経常利益は25.1%増の190億1600万円となり、いずれも4期連続で過去最高となった。当期純利益はハウステンボスの繰越欠損金の解消による税金費用の増加の影響もあったが、1.6%増の90億5000万円と前年を上回った。
旅行事業では、売上高が8.6%増の4685億5100万円、営業利益が29.6%増の103億900万円と増収増益となった。HIS代表取締役社長の平林朗氏は営業利益が伸びた理由として、富裕層やシニア層と、ハワイやヨーロッパなど長距離方面への取り組みを強化したことで1名あたりの利益率が高まったことを挙げた。さらに、13年10月期は急激な為替変動や中国、韓国の外交問題などへの対応が間に合わず大きく落ち込んだが、14年10月期は期初から対策を講じた効果があったと語った。
日本発海外旅行では、ハワイやヨーロッパなどの長距離方面でアジアの落ち込みを補った。全体の取り扱いのシェアでは、欧米が1ポイント増の37%、ハワイ・ミクロネシアが2ポイント増の25%まで拡大。一方、アジア方面は3ポイント減の36%となった。また、平均顧客単価の上昇により、観光庁が取りまとめる主要旅行会社50社の旅行取扱概況で、売上高のシェアが0.6ポイント増の16.3%に拡大したという。このほか、同社の海外ネットワークを活かした旅先でのサポートサービス「旅先コンシェルジュ」を開始。人気施設の貸切鑑賞で対象施設を増やすなど、HIS独自のサービスや商品も積極的に提供した。
国内旅行では、全日空(NH)やLCC利用商品を増加。沖縄ではHIS専用のシャトルバスや無人島体験などの独自の商品を設定し、主要旅行会社50社の売上高で見ると、業界平均を30ポイント以上も上回る成長を遂げた。また、訪日旅行では商品造成や送受客で海外拠点との連携を強めたこともあり、好調に推移した。
海外での事業では、東南アジアでの多店舗展開を促進。タイに22拠点、インドネシアに14拠点、ベトナムに9拠点となった。また、39ヶ国で展開中のオンライン予約サイト「hisgo」では、日本の国内宿泊予約サイト「スマ宿」と接続。日本と海外双方で訪日事業の強化に取り組んだという。
テーマパーク事業では、ハウステンボスが各イベントを中心に好調に推移。初の場外イベント「大阪城3Dマッピング スーパーイルミネーション」も好調だったことで、売上高は27.7%増の262億3300万円、営業利益は53.9%増の77億1800万円となった。ハウステンボスの単独業績については、関連記事を参照のこと。
運輸事業では、チャーター専門会社であるアジア・アトランティック・エアウェイズ(HB/AAA)で成田/バンコク線やカンボジアへの直行便を運航。しかし、長引くタイの政情不安などが影響し、売上高は32億5500万円、営業損失は17億9200万円(前期:営業損失10億6500万円)となった。
このほか、ホテル事業では、売上高は20.9%増の54億1300万円、営業利益は2億6000万円(前期:10億1800万円の赤字)と黒字化を達成。来年夏にはバリに新ホテルを開業する予定だ。九州産交グループについては、新型バス車両の導入やマルチ映像施設「阿蘇スーパーリング」を設置。燃油費上昇の影響もあり、売上高は0.4%減の251億7500万円、営業利益は9.7%減の12億5900万だった。
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