田辺市、「世界遺産の田辺」アピール、熊野古道の登録10周年で

  • 2014年12月1日

田辺市長の真砂充敏氏 和歌山県の田辺市は11月28日、都内でメディア向け懇親会の「田辺ナイト」を開催した。同市では、熊野古道が2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されてから今年で10年目となることを受け、2014年4月から新事業として、知名度とブランド力の向上をはかるための「価値創造プロジェクト」を開始したところ。この日は、情報発信を担う「田辺+魅力はっけん委員会」の活動報告などをおこなった。

 会の冒頭で挨拶した田辺市長の真砂充敏氏は、同市の観光を取り巻く状況について、「世界遺産の熊野古道が紀伊半島南部にあることは認知されているが、田辺市にあることについては知られていない」と指摘し、世界遺産と同市のイメージを結びつける必要性を強調。認知度向上をめざし、「今年をピーアール元年として力点を置いている」とした。今後のプロモーションの方向性については、「市名を変えたりする考えはない。このような(イベントなどの)機会を通じ、市全体で努力してピーアールしていく以外にない」と述べた。

田辺市役所企画部たなべ営業室主任の古久保宏幸氏 この日は田辺市役所企画部たなべ営業室主任の古久保宏幸氏が、「田辺+魅力はっけん委員会」の活動を報告。4月に渋谷ヒカリエで実施した、写真展などからなるプロモーション活動「世界遺産のあるまち~田辺」や、5月に締結したスペイン・ガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステーラ市との観光交流協定、7月の世界遺産登録10周年記念式典などについて説明した。サンティアゴ・デ・コンポステーラ市との協定締結は、同市の巡礼路と熊野古道の2例だけが、巡礼路として世界遺産に登録されていることを受けたもの。

 古久保氏はそのほか、2015年2月には絵画展「平山郁夫 ~熊野路を描く~」、9月には田辺スポーツパークなどで「2015紀の国わかやま国体」を予定していることを伝えた。プレゼンテーションの最後は、「今後も私たち自身が田辺市の魅力を発見して、精一杯お伝えしたい」との言葉で締めくくり、メディアに協力を求めた。

活動報告の後は、真砂氏が語り部となって「ミニ熊野講座」を開講した 田辺市役所産業部観光振興課によれば、2013年に同市を訪れた観光客は前年度比8.8%増の361万8077人で、宿泊数は9.4%増の36万2870人。ともに世界遺産登録後では最低となった2011年以降、2年連続で前年比増となっているが、2005年の観光客416万3703人、2004年の宿泊客44万4128人の水準には戻せていない。プロモーション以外の課題としては、路線バスなど2次交通の拡充などが挙げられるという。