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民間主導で稼げる訪日ビジネスを、街づくりで誘客強化

  • 2014年11月25日

訪日ビジネスで外貨獲得、地域の人材育成を
「住んでよし」の街づくりで観光客を誘致

 ジャパンインバウンドソリューションズ(JIS)はこのほど、新免税制度施行にあわせて、インバウンドをテーマに「観光立国フォーラム2014」を開催した。フォーラムの第2部ではJIS代表取締役社長の中村好明氏とマーケティング・コンサルタントの西川りゅうじん氏が基調講演を実施し、訪日外国人マーケットが年々拡大していくなかで、2020年の訪日2000万人に向けて、日本が取り組むべき課題について持論を展開した。


外貨を稼げる訪日ビジネスへ、民間主体で

 「訪日客数から訪日GDPに焦点を移すべき」——中村氏はまずそう切り出し、議論を進めた。今年10月1日の外国人外客免税制度の改正を念頭に、「官民が連携して、外貨を稼げるインバウンドビジネスにしていくべき」と主張。2013年の日本の国際観光収入は149億3400万米ドルで世界21位にとどまっていることから、免税店を倍増して、改正された免税制度を大いに活用していくことが必要だとした。

 また、中村氏は国内の人口が減少し内需が縮小していくなか、「国内で戦っている場合ではない。みんなが連携する公共哲学が求められている」と説いた。鉄道デザイナーの水戸岡鋭治氏の考えを例に出しながら、経済活動の「米仕事」と社会奉仕の「花仕事」の両方が公共哲学には必要だが、現在の日本は「米仕事」に集中しているとし、「これではインバウンドは伸びていかない」と警鐘を鳴らした。

 そのうえで、インバウンドという外圧を利用して、時代遅れのシステムを変えていく必要性を指摘。キャッチアップ型のインバウンドビジネスから「真のナンバーワン観光立国」になるためには、「国民一人ひとり、地方自治体、民間企業、政府、NPOなどの団体、教育機関が(それぞれ役割を担う)『公共世界(Publics)』という考え方を持つべき」とした。

 中村氏は公共世界という概念に基づくと全ての産業がインバウンド産業になると説明。「インバウンド推進には官民ではなく、民間が主役で官はサポート」という役割を明確にするとともに、官に頼る依存型から独立し、相互依存に発展させていくことが観光立国の礎になると語った。さらに、「インバウンドは草花ではなく樹木。すぐに成果は出ないかもしれないが、丹精込めて育てれば果実は多い」と話し、民間の持続性、継続性、そして主体性の重要性を強調した。