JATA、エリア・スペシャリスト新設、D/S再編で-1500名目標
日本旅行業協会(JATA)は11月22日、人材養成講座として「エリア・スペシャリスト(A/S)」を新設した。2005年度から13年度まで展開してきたデスティネーション・スペシャリスト(D/S)を再編し、新たに設定したもの。カウンターセールスを主なターゲットに、15年3月から募集を開始。初年度の目標は1500名で、16年度以降は毎年2000名以上の受講者獲得をめざす。
A/Sでは海外旅行で人気の高い・地域を8つのエリアに編成。エリアごとに一般情報や観光・地理、文化・歴史、自然、交通・宿泊、飲食・ショッピング、エンターテイメント、ビジネス・トラベル、ビーチ・リゾート、その他の分野を学ぶ。春と秋にインターネット講座を開講し、各講座を5ヶ月間受講し、修了試験合格者を認定する。受講募集は2015年3月から開始する。
JATA研修・試験部長の金信男氏は「インターネットを活用した予約は増えているが、カウンターへの期待も以前として多い」とし、消費者は旅行会社のカウンセリング機能に期待をしていると説明。今年7月に日本交通公社(JTBF)が実施した旅行需要調査によると、海外旅行の申し込みによく使う方法で34.8%の女性が旅行会社の店舗を選択。また、旅行会社の店舗を利用したいと考える状況を尋ねた質問では「担当者と相談しながら内容を決めたい時」が最も多く、女性の42.7%、男性の41.3%が選択したという。
A/SはD/Sを再編する形で設定。金氏によると、D/Sでは33ヶ国・地域で22講座を提供していたが、カウンタースタッフが22講座をすべて受講するのは難しいことに加え、旅行会社側からも社員教育システムに組み込みやすい形が望ましいとの意見があった。また、特に欧州などは各国を周遊する旅行形態が多いため、総合的な情報を求める声も多かったことから、今回8エリアに再編したという。
今後は会員各社に対し、社内講座としての活用や、人事考課や昇任・昇格システムに反映してもらえるよう、働きかけをおこなうほか、JATAウェブサイトや講座パンフレットでの告知活動も展開していく。さらに、観光関連学科を持つ大学などにも受講を依頼していくとした。
春期は募集期間が3月初旬から4月初旬、講座受講期間は5月から9月。9月中旬に修了試験を実施し、10月初旬に合格発表をおこなう。秋期は募集期間が8月初旬から9月初旬、受講期間は10月から翌2月、修了試験は2月中旬、合格発表は3月初旬。
受講・修了試験料は1講座あたり1万4000円で、団体割引も設けた。認定料は3000円で、同一年度2講座以上認定する場合、2つ目以降は2000円。認定要件は旅行会社や旅行業関連企業に勤務し1年以上実務経験があることや、認定申請時に直近3年以内に申請エリア内すべての国・地域のうち1ヶ国・地域に1回以上の渡航経験があることなど。D/Sでは5年以内としていたが、今回3年に期間を短縮した。申し込みはトラベル・カウンセラー制度推進協議会のウェブサイトで受け付ける。
有効期限は5年間とし、最新のエリア情報の取得、ブラッシュアップのためWEBテストによる更新制度を導入。2020年度以降から更新手続きを開始する。更新申請料は5000円とした。なお、D/S認定者の資格有効期限は2019年3月末まで延長しており、D/Sの認定期限が切れた後は、新たにA/Sの試験を受ける必要が生じる。