外務省、中国人向け数次ビザの要件緩和、富裕層は沖縄・東北訪問免除
外務省は11月8日付けで、訪日中国人の数次ビザについて、発給要件を緩和すると発表した。「日中間の人的交流を拡大し、政府の観光立国推進や地方創生の取り組みに資する」ことが目的で、同日に北京で開催された日中外相会談で岸田文雄外務大臣が中国側に伝えた。具体的な運用開始日や詳細などについては検討中だという。
緩和される要件は3つあり、個人観光客については「相当の高所得者」向けに新たな数次ビザを導入し、従来の数次ビザ取得要件として義務付けている、最初の訪日時における沖縄または東北3県のいずれかでの1泊を免除する。有効期間と滞在可能期間は未定。中国人向けの各種ビザのなかでは、最も経済的なハードルが高い一方、自由度も最も高くなる。
また、個人観光客の沖縄・東北3県数次ビザの申請者については、過去3年以内に訪日歴がある者については、現在求めている所得要件「十分な経済力を有する者」を緩和するとした。同省によれば、現在の有効期間は3年間、滞在可能期間は90日以内としているが、経済的なハードルが下がる分、各期間は短縮される可能性があるという。具体的な年収など、要件の詳細は不正申請などを防ぐため、今後も公表しない方針。
そのほか、商用渡航者や文化人・知識人の数次ビザ申請者について、要件を一部緩和する。申請時に提出する書類などの手続きを一部簡素化するもの。現在の有効期間は1年間から5年間、滞在可能期間は90日以内としているが、各期間については変更しない見通し。
同省によれば、今回のような沖縄または東北3県への訪問の免除や、所得に関する要件の緩和については、以前から、観光立国をめざす観光関連省庁や地方自治体などが要望していたという。