インフィニ、英企業と連携しLCC予約ツール提供開始、海外42社から

  • 2014年10月28日

トラベルフュージョン社CEOのモシェ・ラフィア氏(左)と、インフィニトラベルインフォメーション代表取締役社長の藤木悟氏 インフィニ・トラベル・インフォメーションは11月17日から、LCCの予約ツール「INFINI LCC Search」の提供を開始する。「INFINI LINX」との連動でLCCの空席照会から予約・決済までを可能にするもの。ロンドンに拠点を置くLCC予約に特化した世界的なGDS企業のトラベルフュージョン社と共同開発した。インフィニ代表取締役社長の藤木悟氏は10月28日に開催した記者発表会で、当面は日本路線をもたない海外42社からサービスを開始するが、今後は取り扱うLCCを拡大する考えを明示。「トラベルフュージョン社ではピーチ・アビエーション(MM)やエアアジアグループ、ジェットスターグループなど日本に就航しているLCCにも対応している。今後は準備ができ次第対応していきたい」と語った。

「INFINI LCC Search」のロゴ 藤木氏は、これまではスクート(TZ)やエアプサン(BX)など数社の予約・発券に対応してきたものの、旅行会社からはその他のLCCについても取り扱いを求める声が挙がっていたことを報告。急速に拡大するLCC市場に対応するため、「LCCを取り扱える簡単で便利で安心できる予約システム」の提供に至った旨を説明した。11月17日時点で取り扱うLCCは、ライアンエア(FR)やイージージェット(U2)などの欧米24社、ベトジェット航空(VJ)などアジア・オセアニアの11社、フライドバイ(FZ)などの中近東・アフリカ7社。

 同ツールでは、INFINI LINXのユーザーがFSCの空席を照会する際に、トラベルフュージョン社のホスト・コンピュータにも接続。当該区間に取り扱うLCCが就航している場合、別ウインドウで自動的に空席状況を表示する。アンシラリーサービスの追加にも対応しており、決済はすべて日本円でおこなうことで、旅行会社は為替差損の発生リスクを回避することができる。決済については、同ツールでのみ利用可能なクレジットカード「INFINI LCCカード」による決済も受け付ける。

 予約後はINFINI LINXの画面上でPNRが自動作成されるため、旅行会社はPNRを一元管理することが可能。問い合わせ対応などのサポートについては、インフィニのヘルプデスクで対応する。藤木氏はアマデウス・ジャパンが提供する「LCC Smart」との差別化について、INFINI LCC Searchでは決済までおこなうことが可能であることを強調したほか、サポート体制についても自信を見せた。

 旅行会社が導入する際には5万円を徴収し、その後は1ヶ月あたり1万円を課金する予定。インフィニ取締役営業本部長の平林良章氏は、「IATAに加盟する旅行会社には全て導入することが最低限の目標」と述べるとともに、今後は「LCCを取り扱わなければ、インフィニも旅行会社も収益は下がる」との見方を示した。予約数の見込みについては「(年間の日本人出国者数)1600万人から1700万人のうち、10%が利用してもらえれば」と語った。

 会見では、今後はインフィニがトラベルフュージョン社の日本地区総代理店(GSA)を務めることも発表。トラベルフュージョン社は2000年に設立され、現在はLCCを中心とする200以上の航空会社や、ホテル、レンタカー、OTA、比較検索サイトなどに予約機能を提供している。1日あたりのサプライヤー検索数は6500万件以上、PNR作成数は2万4000件以上。2013年の年間予約数は約440万件で、2016年の年間予約数は1163万件を見込むという。

 藤木氏はトラベルフュージョン社について、「長期にわたるサービス提供にあたり、信頼できるパートナーと確信している」と評価。来日したトラベルフュージョン社CEOのモシェ・ラフィア氏も、「長期的なパートナーシップを強化する」と述べるとともに、「日本市場ではインフィニが独占的なパートナー」とし、他のGDSとは提携しない方針を示した。