TCSA、派遣添乗の時間管理求め主要43社に申し入れ、処遇保全も

  • 2014年8月17日

 日本添乗サービス協会(TCSA)は8月11日付けで、主要な派遣先旅行会社43社の代表者に対して派遣添乗員の労働時間管理などを求める書面を送付した。派遣添乗員の労働時間管理については従来「事業場外労働に関するみなし労働時間制」が適用されてきたが、1月に最高裁判所でこれを認めない判決が確定しており、今回の書面送付は同判決を受けてのもの。今後も、TCSA会員各社の要望に応じて43社以外の旅行会社にも随時申し入れていく。

 書面では、添乗労働について「みなし労働」は適用できないこと、派遣添乗員の労働時間管理は派遣先の旅行会社がすべきであることを伝えるとともに、時間管理によって結果的に派遣添乗員の処遇が悪化することのないように配慮を求めた。

 まず、「みなし労働」について、TCSAも従来は「適用することが相当であるとの基本認識」に基づいて活動してきたが、今後も同様の認識を維持することはコンプライアンスに抵触する重大な問題となると強調。会員会社にも、添乗労働の時間管理に対する認識を抜本的に見直し、労働時間の管理に向けて社内の体制や賃金制度を改善して、早急に定額日当制から労働時間に応じた賃金支給に改めるよう指導を徹底していく方針を示した。

 その上で、派遣添乗員の労働時間管理の問題は派遣元のみで解決できるものではなく、派遣先の旅行会社による適正な管理が不可欠であると指摘。厚生労働省が定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」に基づいた適正な労働時間の管理を求めた。

 具体的には、添乗の労働時間が原則として自己申告制となることから、労働時間が正確に記録され、適正な申告がなされるよう「自由行動時や移動中の労働時間など算定基準の明示」、「日程表や指示書への始業予定時刻と就業予定時刻の明記」、「最終日程表への『添乗員は行程中適宜休憩を取得させていただく』旨の記載」をおこなうように要望。

 また、「添乗日報などに実際の就労時間を記入できる」ことも求め、さらに明記された始業と就業の予定時刻と実際の就労時間に30分以上の乖離が生じた場合には理由を記載させ、必要に応じて本人への事情聴取や実態調査をすれば適正な労働時間の申告につながるとも提案している。

 このほか、打ち合わせと精算時の労働時間は指定時刻から起算すること、顧客への電話対応が必要なツアーには想定される所要時間を明示することも要請した。

 処遇悪化の阻止に向けては、「添乗業務にプライドを持ち、さらなるスキルアップに向けた不断の努力を重ねるためには労働条件の維持は不可欠であると思慮」していると前置き、現行賃金からの減額が起きることのないよう「ご高配」を要請。

 その上で、TCSAの考え方として、時間単位で派遣料金を定めた上で1日の派遣料金について11時間相当額を最低補償とすること、それが困難な場合は、基本派遣料金を1日あたり3時間の所定外労働を含めた定額残業制とし、労働時間が11時間を超えた場合について基本派遣料金とは別に時間外労働相当分の派遣料金を支払うことを要望。加えて、22時から05時までに添乗業務に従事した場合に、時間あたりの派遣単価に25%の深夜割増料金を加算することも求めている。

 なお、今回書面を送付した43社は次ページの通り。