印マハラシュトラ州、観光公社の東京事務所開設、和歌山県と協力
インド・マハラシュトラ州観光開発公社は6月27日、和歌山県の協力を得て東京事務所をオープンした。同県との間で昨年10月に締結した、観光業などにおける協働に関する覚書に基づくもので、事務所は和歌山県の東京事務所内に開設。ポスターやパンフレットなどを設置して、日本市場でのPR活動を開始する。開設に先立ち26日には、同州政府がインド大使館で観光ピーアールイベント「マハラシュトラの幕開け」を開催。来日した同州文化大臣のサンジャイ・デオタレ氏らがプレゼンテーションをおこなった。
同州はインド最大の都市ムンバイを擁する、インドの経済活動の中心地。覚書は、マハラシュトラ州が「アジャンター石窟群」など、和歌山県が「紀伊山地の霊場と参詣道」と、ともに世界遺産を有していることがきっかけの1つとなり締結されたという。新設された東京事務所では当面の間、和歌山県職員の日本人が業務をおこなうが、将来的には同州から担当者を派遣し、常駐させることも検討している。
デオタレ氏はプレゼンテーションにおいて、同州の観光資源にはアジャンター石窟群などのほか、アラビア海沿岸部のビーチリゾートや、ナーグプールの虎保護区などがあることを説明した。文化・観光担当副長官のスミット・ムリック氏は、同州がインドへの外国人観光客の24%を集める観光の中心であることをアピール。昨年には全観光客の3.34%を占める22万人の日本人がインドを訪れたと伝えた。
同州観光開発公社社長のジャグディッシュ・パティル氏は、日本人向けには仏教寺院・遺跡巡り、アーユルヴェーダや瞑想、ゴルフなどを軸にした旅行の提案ができると強調。そのほか、避暑地や州内に35ヶ所ある温泉の魅力も紹介し、今後の日本人観光客増に期待を示した。
本誌の取材に応えたパティル氏は、一昨年にデリーで起こった婦女暴行事件が世界中で報道されてから、インドへの若い女性観光客が減少していることについて、「ムンバイを含むマハラシュトラ州は都市化が進んでおり、他地域よりも治安は良い」と説明し、理解を求めた。エア・インディア(AI)東日本地区旅客営業部部長の木下洋子氏も、自身の経験を踏まえて「インドでは稀に突出したケースも見られるが、ムンバイでは常識的な時間内および範囲内で行動している限り、まず問題はない」との見方を示した。
AIは現在、成田/デリー線と関空/香港/デリー/ムンバイ線をそれぞれ週3便、ボーイングB787型機を中心に運航中。今年7月から9月までのロードファクターの平均は、本来なら80%以上を見込めるはずが、70%程度にとどまっているという。木下氏は、近年では同じく成田/デリー線を運航している全日空(NH)などとの競合にさらされながらも、充実したインド国内線のネットワークを活用したツアー商品の造成などを、旅行会社に働きかけていると説明した。