現地レポート:北部ドイツのブレーメン、歴史とイノベーションを体感
路地散策で新旧合わさった魅力を堪能
ブレーメンの歴史と町を肌で知りたいなら路地歩きがおすすめだ。細い石畳みの道の周りにアートなショップやカフェが並ぶ風景に旅情も高まる。マルクト広場から歩いて数分、ヴィーザー川沿いに広がるシュノール地区もそのひとつ。ブレーメンで最も古い地区だ。シュノールとは「紐」という意味。紐に通した真珠のように家々が並んでいることから、その名がついた。15世紀から16世紀に建てられた小さな家々が立ち並び、可愛らしい街並みを造り出している。
地区の一画には、ブレーメンの歴史を今に伝える[ブレーメン歴史館」があり、ハンザ同盟時代の商人の生活が再現され、どのように自由自治を獲得していったかを知ることができる。案内人はすべて当時の装い。時空を超えたエキシビションは、特に外国人観光客から人気を集めている。
もうひとつ注目の通りがある。マルクト広場から伸びるベトヒャー通りだ。ここの道も狭く、それだけに趣もまた深い。この通りは、かつて職人たちが暮らしていた場所だが、現在ではデザインショップ、カラフルなキャンディー工房など個性豊かなショップが軒を連ねるほか、ドイツ表現主義の先駆けとなった女流画家パウラ・モーダーソーン・ベッカーの美術館もあり、アートな空気感に包まれている。
通りの中央には、赤レンガの建物に挟まれる形で仕掛け時計。時間ごとに音楽を奏で、航海士たちの歴史が彫り込まれたパネルが回転する。メランコリックな音色が鳴りだすと、多くの人が足を止め、パネルを見上げながら、ブレーメンの昔に思いを馳せる。
ブレーメンの町はコンパクトにまとまっており、マルクト広場を中心にシュノール地区、ベトヒャー通りといずれも徒歩圏内。ゆっくり散策してもそれほど時間はかからない。余った時間は、マルクト広場の屋台で自家製ソーセージを試してみるのもよし、ヴェーザー川まで行き、リバーサイドを散歩するのもよし。歴史の歩みのごとく、ゆっくりと時間を過ごすのがブレーメン観光の流儀だろう。