旅行業倒産、5月は1件減の2件-宿泊業は10件、負債総額は42.6%増に

  • 2014年6月10日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、2014年5月の旅行業の倒産件数は前年から1件減の2件だった。東日本大震災関連倒産は0件。負債総額は前年比27.9%減の9800万円だった。

 TSRによると、5月の倒産2社は負債総額5000万円、4800万円と中小零細規模で、いずれも国内旅行を中心とした個人、団体向け営業をおこなう業者。業績不振と赤字経営が続き、その状況から脱することができなかったという。TSRでは大手旅行会社で売上高を伸ばす業者も出てきている一方、業績不振に悩む中層零細企業からの倒産が発生しており、業者間で2極化していると見る。

 宿泊業では、倒産件数は前年から7件減の10件にとどまった。震災関連倒産は2件。負債総額は10億円以上の旅館・ホテルの倒産が3件発生したことで、42.6%増の79億2800万円と大幅に増加した。

 負債額が大きかったのは能登観光ホテルなおき、東宝宝飾、開花亭の3件。能登観光ホテルなおきは石川県の温泉旅館で、負債総額は20億円。バブル経済崩壊後の業績低迷や設備の老朽化などにより、休業を余儀なくされ、取引停止処分となった。

 東宝宝飾は負債総額12億5500万円。貴金属の小売に加え、山梨県石和温泉内で「ホテル東洋」を経営していたが、ホテルの稼働率が低迷する中、震災や設備の老朽化が響き、破産した。開花亭は芦原温泉の温泉旅館で負債総額10億7200万円。震災の影響や食中毒事件による営業停止処分が響いたほか、実質経営者の体調不良なども重なり事業継続が困難となり、破産による整理を実施することになったという。