日韓の文化交流で需要喚起を-韓国でN響公演、ANTA二階氏ら参加
アシアナ航空(OZ)などを展開するクムホアシアナグループのクムホアシアナ文化財団は、日本国際交流基金と共同で6月1日、NHK交響楽団(N響)の韓国公演を実施した。日韓関係が難しい状況の中、民間での文化交流を目的としたもので、日本からは265名が参加。全旅や日放ツーリスト、名鉄観光サービス、トラベル日本、ワールドトラベルシステムなど旅行会社数社がパッケージツアーを造成し、集客を担当した。旅行業界からは全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博氏をはじめ約50名が参加した。
クムホアシアナ文化財団は2003年から「クムホ・ワールドオーケストラシリーズ」として、世界的なオーケストラの韓国公演を14回実施しており、今回の公演もその一環。N響にとっては今回で7回目の韓国公演となる。
同財団副社長のキム・ヨン・ヨン氏は「日韓関係が思わしくないが、文化的面での交流を継続すれば関係改善につながるのでは」と公演の意義を説明。「民間交流の継続は、政治的な面にも良い影響を与える」と期待を示した。
今後は両国間の更なる交流をはかる方針で、来年が日韓国交正常化50周年であることから、韓国の交響楽団の公演を日本で実施することを検討中だ。OZなどクムホアシアナグループ各社と協力し、相互交流を深めるためのプロモーションも企画しているという。キム氏は「旅行会社の皆様がコンサートの様子を見て、韓国は何ともないということを伝えてほしい」と呼びかけた。
また、二階氏は「日韓関係が良くなることを希望している人がほとんど。今の曇り空のような状況を良いと思っている人はいない、ということを今回の演奏会が証明したのでは」と語った。
同氏は「韓国経済界を代表するクムホアシアナグループの代表や、マスコミ界を代表する中央日報の会長などが、公演パンフレットに熱烈なメッセージを寄せている」と話し、「韓国も日本も両方が力を合わせて協力しあってこそ」相互交流が進むと指摘。自身も「多くの人々を韓国に送るということを念頭に出席した」点を強調した。今後も日韓国交正常化50周年に合わせて民間交流を強化していきたい考えだ。
ANTAでは今回の訪韓に伴い、現地視察や関係者との意見交換を実施。来年2月にはANTAメンバーを中心に旅行業関係者2000名が韓国を訪問し、韓国の旅行業界と交流し、意見交換や情報収集をおこなう予定だという。
また、今回の公演には名鉄観光サービスから約25名の社員が参加。同社代表取締役社長の神應昭氏は「文化や芸術の交流をきちんと続ける中で日韓交流が深まる。政治状況が厳しいからこそ、我々がやらなければならない」と民間交流の重要性を強調した。
同氏によると、名鉄観光サービスの海外旅行の売上のうち韓国のシェアは4割強と高い。しかし、韓国は2012年以降、前年比15%減で推移。神應氏は「インバウンドは回復傾向にあるようだが、問題はアウトバウンド」と危機感を示した。
このため、名鉄観光サービスでは昨年末から今年初めにかけて、名古屋鉄道でラッピング広告を実施するなど、韓国旅行の需要喚起に力をいれているところ。パッケージツアーについては韓流関連が堅調に推移していることで「期待は強い」とし、引き続き販売をおこなっていく。
さらに、同社の主力と位置づける団体旅行では、昨年6月に営業担当者など100名で韓国を訪問し、生の現地情報を顧客に伝えられるよう対策をおこなっていると説明。「地道な取り組みを継続することで、韓国に行ってみたいという雰囲気を作り出していければ」と語った。