現地レポート:韓国、ソウル&仁川の新デスティネーション
従来のメジャー商品に代わる新ツアーを提案
ソウル&仁川の新エリアで歴史と文化を歩く
「2014年の日本人旅行者数300万人」を掲げた日本旅行業協会(JATA)と韓国観光公社(KTO)。数のみならず、従来の商品にとって代わる新商品の開発、付加価値の高いツアー造成でも相互に取り組むことで合意しており、3月19日から21日に実施した企画担当者向けの視察旅行では、KTOがソウルと仁川で商品化されていない新しいエリアの素材を「これから売れる商品」として提案。旅行会社が案内するソウル&仁川ツアーの可能性を探った。
観光地としての仁川
歴史文化とグルメの豊かさと未来に拓く先進都市
今回の視察ツアーで仁川を組み込んだ理由について、KTOの日本チーム次長の朴キョン淑氏(キョンはたまへんに京)は「ソウルとは違う魅力があるが、日本では空港のイメージが強い。9月のアジア大会の開催地として認知が高まるので、観光地としての可能性を知ってほしい」と語る。韓国では人気の観光地の一つで、特に週末はソウルからの観光客でにぎわう。日本でいえば立地的にも文化的にも、横浜のような場所なのだという。
海に面する仁川は、過去においても重要なゲートウェイだった。1882年に国際貿易港として門戸を開き、周囲にイギリスやロシア、アメリカ、中国など各国の租界地がつくられた。その広さ約46万平方メートル。当時は日本人街を中心に町がつくられていたといい、その境界で変わる雰囲気に触れながらそぞろ歩くのが、観光のポイントの一つ。
まずは韓国で唯一というチャイナタウンへ。赤を基調にした中国料理店やふっくらした見た目が可愛い名物のコンカルパンなどの売店が並ぶ大通りや、壁に三国志の歴史が描かれた「三国志壁画通り」などは、いかにも中国らしい街並みだ。ここでは当時のレシピを再現した「百年ジャージャー麺」を楽しみたい。韓国人のソウルフードといわれるジャージャー麺の韓国での発祥地で、韓国人が仁川を訪れる目当ての一つになっている。
次は和の名残りが漂う旧日本人街へ。清・日疎開地境界階段を挟んで隣り合う2つの街の変化が感じられる。かつての日本の銀行の建物が博物館や展示館として使用されているなど、歴史ガイドを聞きながら当時の様子に思いをはせるのも面白い。
そしてそのまま10分から15分ほど歩くと、新保国際市場に着く。もともと租界地の日本人や中国人に野菜を売ったのが始まりという市場で、惣菜や食材を中心に約160軒の店舗が並ぶ。ピリ辛のタレが絡んだ鶏のから揚げ「タッカンジョン」、鮮やかな「五色マントウ」など仁川市民の味に触れる絶好の場だ。このほかアンコウ鍋など海鮮の店も多く、ソウルとは異なる名物グルメも仁川観光のアクセントとなるだろう。
さらに、仁川自由経済区域として2020年の完成を目指した国際都市づくりを推進している3つのエリアにも注目したい。そのうちの一つの松島国際都市は、IT産業中心の都市づくりがテーマ。世界に5つしかないジャック・ニクラウス氏本人の設計によるゴルフ場、韓国ブランドが中心のアウトレット、韓国初のグリーンコンベンションセンターなどもある。このほか、国際物流地域とする仁川空港付近の永宗国際都市、国際金融都市として力を入れる青蘿国際都市があり、MICEやテクニカルビジットの可能性もありそうだ。