トップインタビュー:香港政観日本局長の堀和典氏

「食」テーマにプロモーション強化
店頭スタッフ向け「FIT FAMツアー」も検討

近距離アジア方面の代表格といえる香港。領土問題の影響で日本人訪問者数が低迷し、2013年も前年比16%減と落ち込んだが、それでも105万7033人と100万人の大台は維持。特に10月からは回復に転じている。同じく10月には、香港政府観光局(HKTB)の日本局長に前オーストラリア政府観光局日本局長の堀和典氏が就任。2014年は2桁の回復をめざすという堀氏に、市場の現況や今後のプロモーションの計画を聞いた。


-就任から半年が経過しました。振り返りをお聞かせください

HKTB日本局長の堀和典氏(以下、敬称略) 本当にあっという間の半年。オーストラリアとの違いを感じる機会が多いが、前職で抱えていた一番大きな課題、座席供給量の心配がなくなった。オーストラリアでは、ほんの10年間で年間140万座席が50万座席程度に減ってしまった。

 これに対して、香港は現時点で約340万座席。それも東京、大阪、名古屋、札幌、福岡、沖縄と6地点から直行便が飛び、チャーターや季節便も出ている。これは非常に大きなメリットだ。

 また、日本と香港のバランスの良さも感じている。座席供給量が安定するために最も重要な要因はインとアウトのバランス。日本からは100万人以上が香港を訪れているが、香港からも75万人が来ている。

 日本の旅行業界にとって4月から6月はオフ期。しかしインバウンドの視点では、桜の季節でもあり、とても良い時期。なかなか日本人が出にくいシーズンに来ていただけるのも良いバランスだ。


-交流人数が180万人規模ということですが、2014年の見通しはいかがでしょうか

 旧正月のあるデスティネーションは1月、2月を合わせて見なければならないが、現状として香港への日本人訪問者数は合計で2%増となった。通年では2桁の増加、110万人は超えるだろうと期待している。

 インバウンドは分からないが、今のところ非常に調子が良い。昨年は50%伸びたが、今年も間違いなく伸びるだろう。双方向で200万人近い数字になっていく気がする。


-座席数の増加はLCCによるところも大きいですが、市場への影響はあるでしょうか

 基本的に、LCCは選択肢の増加という意味で良いことだと思っている。今、消費者はとてもうまく使い分けている。香港に夜中に出発して早朝帰ってくる便などは時間的な不都合がある一方で運賃が安いメリットがあるが、そういう便を仕事が終わった後に使ってみよう、といった新しい需要を創出している可能性は十分にある。

 価格が特別であれば、今まで海外旅行に行かなかった人も興味を持たれる。あくまでも選択肢の一つだろう。


-現在の需要構成についてお聞かせください。また、旅行会社経由の渡航はどの程度の規模でしょうか


 まず宿泊を伴う旅行者のみに限定すると、そのうち6割がレジャー目的。純粋な業務渡航は2割程度で、1割がインセンティブを中心とするMICE。それ以外がVFRなどその他で、全体として見ればレジャーが中心だ。

 旅行会社経由は8割くらいではないか。香港に飛んでいる航空会社の旅行会社依存率が非常に高いことがひとつ。また、FITが進んでいるとはいえFIT層に合わせたフリープラン型のパッケージもたくさん出ている。