旅行産業研究会、取りまとめの素案提示-単品販売は意見分かれる
観光庁は2月20日、第7回旅行産業研究会を開催し、3月中に提出予定の報告書の素案について話し合いをおこなった。素案はオンライン・トラベル・エージェント(OTA)の台頭、インターネット取引の増加、中国、韓国の旅行者増による海外宿泊仕入競争の激化など、旅行業界を取り巻く環境の変化や、旅行者の安全確保を求める声、着地型商品など新しい旅行スタイルの出現などを踏まえ、今までの話し合いの内容をまとめたもの。
観光庁観光産業課長の石原大氏によると、素案ではある程度研究会内で合意を得られたものについてはまとめるが、意見が分かれたものについては各意見を併記し、慎重に検討するべきと付記するという。
合意が得られたものの一例として、石原氏は旅行に関する安全マネジメントを挙げた。安全マネジメントについては日本旅行業協会(JATA)が昨年末に定めたガイドラインを活用し、旅行会社に対し周知徹底をはかっていくことで合意済み。さらに、石原氏は海外のOTAとの差別化のため、日本の旅行業界が安全マネジメントに取り組んでいるということを、消費者に積極的にアピールしていくことで合意していると話した。
一方、意見が分かれたものとしては、第2回研究会での議題であった素材単品販売に関わる旅行区分の見直しを例に挙げた。第6回でも「素材単品」の範囲が曖昧であり、宿泊や航空券を組み合わせた場合の扱いなどとの区分けが難しいという意見が出されていた。
今回の議論でも、運送手配を伴わない宿泊施設単品の販売であれば明確に区分されるのでは、という意見が出された一方、「(直販以外で)旅行会社経由で購入することは、担保される消費者の利益があるのでは」とし、消費者保護の観点から、旅行会社以外が扱うことは安全性から考えると消費者の利益にならないのではという反対意見もあったという。
今後は3月前半に開催予定の第8回で再度取りまとめの内容について協議した後、3月中に報告書をまとめる予定。報告書の内容を今年6月に改定予定の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」に盛り込む可能性については、方向性が出せないまま取りまとめる議論もあるため「今のところ白紙」(石原氏)と説明。ただし、報告書をまとめた後も観光庁内で検討を続けるとしており、6月までに方向性を決められればアクション・プログラムに入れる可能性もあるとした。