訪日増めざし品質認証制度を活用、ブランド力強化も
制度を政府も全面支援、リピーター化に期待
続いて登壇した観光庁の篠原康弘氏も、認証制度に期待を示す。同氏によると、海外から自国への訪問者数は、日本は全世界比で33位、アジアで8位。アジアでもっとも多いのは中国の約5700万人で、マレーシアが2500万人と続いており、隣の韓国でも1200万人を超えている。篠原氏は「少子高齢化と人口減少の日本では経済活動として外国人による訪日旅行が絶対不可欠になってくる」とし、「836万人という数字で満足してはいられない」と意気込みを示した。
2013年は1月から7月の累計は595万7700人、7月単月でも100万3100人と初めて1ヶ月で100万人超えを記録。引き続き韓国を筆頭に台湾、中国、アメリカ、香港が上位を占めているが、最近はアジアを中心に渡航者が増加しており、特に7月にビザ要件が緩和されたタイやマレーシアの伸び率が高いとした。
また、篠原氏は観光立国推進閣僚会議で決定した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」について言及。観光立国実現のために4つの重点施策を設定しており、そのなかに「日本ブランドの作り上げと発信」「外国人旅行者の受入の改善」があがっているという。篠原氏は旅行会社の造成したツアーで土産物屋などに何度も立ち寄り、高い健康食品などを買わされたといった苦情も寄せられているといい、旅行の質を高めることが「また行きたい」とリピーター化につながると指摘。JATAの品質認証制度はそのために大変重要であるとし、「観光庁としても期待を込めて全面応援していきたい」と話した。
全国規模の品質評価基準を、先行事例「Sakura Quality」
中部圏社会経済研究所代表理事の小林宏之氏は、観光分野の品質認証での独自プログラム「SAKURA QUALITY」を先行事例として紹介。SAKURA QUALITYは2009年に観光品質基準として策定したもので、ニュージーランドの「クオールマーク制度」を参考しつつ独自研究を重ね、中立性、客観性を重視した第三者による評価をおこなうものとした。
評価は立地や新しさ、温泉の有無など変えようのないハード部分は評価せず、手入れが行き届いているかどうかやサービス方法など、経営努力によって改善できるポイントのみを対象としている。評価項目は326項目にのぼり、外国人対応や日本情緒の有無、環境対策などCRS活動なども加点対象だ。
現在「日本旅館編」「アクティビティ編」「ペンション・民宿編」を設定しており、新潟、長野、群馬3県の7市町村からなる観光連携エリア「雪国観光圏」のみの運用だが、全国規模に拡大し、日本の観光素材の品質評価基準として定着をはかりたい考え。小林氏は訪日外国人だけでなく、日本の国内旅行者にも有益であるとし、「ぜひともオールジャパンでの利用を」と訴えた。