旅館とWIN-WIN、ニーズのマッチングが鍵、WEBにない情報提供を

  • 2013年10月17日

 旅行会社と宿泊施設の関係は、団体旅行の減少、オンライン・トラベル・エージェント(OTA)の台頭、直販化の流れがある中、「送客する側」と「される側」という、かつての関係から変化の時を迎えている。両者にとってwin-winとなるために、今、どのようなことが必要なのか。9月13日のJATA旅博2013業界日セミナーでは、今年6月までびゅうトラベルサービス代表取締役として旅行業に携わり、現在東日本旅客鉄道(JR東日本)営業部次長を務める高橋敦司氏が、宿泊施設の中でも日本旅館を中心に取り上げ、「日本旅館と旅行業のあり方~新しい時代のwin-winの関係をめざして~」と題した講演をおこなった。


宿泊施設の直販化、旅行会社のプレゼンスは低下

 高橋氏はまず、「旅館を売るというプレイヤーとしての旅行会社の相対的な立場が低下している」と指摘。理由として、団体旅行の減少、OTAや直販への部屋の流出、情報提供におけるアドバンテージの低下をあげた。さらに、価格面でも他社との区別がつかなくなり、旅行会社の優位性が失われている点や、ホテルで自社のWEBサイトでの最低価格保証の動きも加速していることも一因とした。

 こうした環境の中、旅館では「脱旅行会社・直販化」を進め、旅行会社との契約を打ち切るケースも出てきている。一方、旅行会社は既存の「客室の仕入れは安く、多く」というモデルのまま、販売方法については、WEB化やダイナミックパッケージへのシフトを進めた。このため、高橋氏は結果として「商品が単純化され、旅行業界内でOTA合戦が起こっている状態であり、旅行会社の本質が失われつつあるのでは」と警鐘を鳴らした。