アクセスランキング、1位は楽天トラベル社長インタビュー

[総評] 今週は、楽天トラベル代表取締役社長の山本考伸氏のインタビュー記事が1位になりました。オンライン旅行会社が世界規模で急速に成長する中、楽天トラベルは日本の代表格といったところですが、今回の記事は企業としての注目度合いもさることながら、山本氏の38歳という年齢もアクセス数を高めた要因なのではないでしょうか。

 帝国データバンクの発表資料によると、2012年時点で調査対象となった全国107万8633人の社長の平均年齢は58.7歳で、1990年から上昇し続けているそうです。旅行業界に限った情報を見聞きしたことはありませんが、感覚的には大差はないように思われます。

 エイチ・アイ・エス(HIS)の平林朗氏が2008年に就任された際、40歳ということでお若い印象を強く受けたことを記憶していますが、山本氏は38歳とさらに下回ります。帝国データバンクによると、40歳未満の社長の割合は全体の5.4%ですから、他業界でも非常に数少ない若手リーダーということになります。

 別に若ければ良いというつもりはありませんし、年齢が上でもその分積み重ねてこられた経験は貴重な武器になります。ただ、現在のように業界環境が混沌としている中で、インターネットなど「新しい常識(ニュー・ノーマル)」に慣れ親しんだ若手経営者が過去の成功体験に縛られずに下す判断が、旅行業界にどのような影響を与えるのか、という点が非常に興味深く感じられます。

 ニュー・ノーマルという言葉は、2009年にアマデウス・アジア・パシフィック・プレジデントのデービッド・ブレット氏によるプレゼンテーションで初めて知ったもので、その後は当欄でも何度かご紹介していますが、「変化し、元に戻れないもの、あるいは状況」といった意味です。

 ブレット氏のプレゼンテーションでの文脈は、リーマン・ショックによって例えば企業が出張をさせる場合に費用を縮小すると同時に効率を引き上げようとしたものが、危機を脱した後も元のように鷹揚な基準には戻らないというものでした。

 2009年から現在までを振り返ると、一例としてLCCは明らかにニュー・ノーマルですし、あるいは当時はゼロコミッションの注目が高かったものが、今はそれが当然になっています。また、現在変化しつつあるもの、例えば検討が始まろうとしている旅行業法も、数年経てば空気のように当たり前に受け入れられているかもしれません。

 以前どこかで、すべての世代が、自分たちこそがそれまでの世代の特徴を受け継ぐ最後の世代だと思っているという調査結果を読んだ記憶があります。分かりにくい文章ですが、つまり「最近の若いもんは」という文句を、すべての世代がそれぞれ思っているということです。「自分はこれまでの人生で先輩たちから薫陶を受けてきた、同じ時間や経験を共有してきた、それに対して下の世代の連中は」という意識でしょうか。

 しかし、その意識が正しいとすると、自分たちとの間に断絶を感じるその世代は、逆に物事を自分たちとは別の形で認識できていることを意味します。自分たちにとっては「対応」しなくてはならないニュー・ノーマルも、彼らにとっては「常識」、つまりただの「ノーマル」なのです。

 重要なポイントは、その断絶した世代が現在あるいは未来の顧客であるわけで、こうしたギャップを理解しようとする努力は、老若男女、役職を問わず必要であるように感じます。

 その意味では、トラベルビジョンとしても最近なかなか更新できていない20代インタビューを再開するとともに、できれば30代経営陣インタビューなどにも手を広げてみたいものです。まずは来週のJATA旅博が過ぎてからになりますが、これをご覧の皆様の中で、我こそは!という方がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください。もちろん他薦も大歓迎です(リンク)。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年9月第1週:9月1日0時~9月6日17時)
第1位
トップインタビュー:楽天トラベル代表取締役社長の山本考伸氏 (13/09/05)

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春秋航空、成田発着で国内線-14年5月から高松、広島、佐賀(13/09/05)

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