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観光庁新長官、双方向の観光交流強化-ASEANのビザ緩和要望も継続

  • 2013年8月22日

観光庁長官の久保成人氏 このほど観光庁長官に就任した久保成人氏は8月23日に開催した定例会見で、海外諸国との双方向の観光交流を強化していく方針を示した。久保氏は特に、インバウンドもアウトバウンドも落ち込んでいる国や地域については「双方向の観光交流を強化していくことは非常に大切なこと」とした。例として中国を挙げ、観光庁の幹部が中国側と話す機会を設けるなど「双方向の観光交流を強化していく、しっかりやっていくということで働きかけをおこなっていく」と語った。

 さらに、ビジット・ジャパン(VJ)事業対象国を中心に、双方向の観光交流キャンペーンを強化していく考え。また、それ以外の国についても「芽が出そうなところはいろいろな方法でしっかりしていきたい。どこかで種をまかない限りは、と思っている」と語った。

 また、インバウンドについては「アジアの観光需要を取り込むことは、日本全体の地域活性化、雇用の拡大や雇用機会の回復に結びつく経済効果がある」と期待を示した。今後は6月に開催された観光立国推進閣僚会議で決定したアクション・プログラムにもとづき、対策を進めていくことで、2013年のインバウンド1000万人をめざしていく。

 久保氏は「1000万人の目標は達成しなければならない。後半戦に向かって、訪日プロモーションでより焦点の絞ったプロモーションをやっていきたい」考えだ。増加傾向にある東南アジアに対し集中的にプロモーションをおこなうとともに、中国についても、個人旅行者は回復してきていることから、中国各地で個人旅行者向けの販促セミナーなどを実施していく予定だ。

 さらに、久保氏は訪日外客数2000万人を見据え、「2000万人の高みに届くためには、仕組みを変えていかなけばならない」とし、訪日需要の喚起、訪問手段としての航空やクルーズなどへの働きかけ、出入国の利便性の改善、日本国内観光の満足度向上の4点を重点施策として挙げた。今後は4分野の取り組みを強化するとともに、各分野の関係省庁や機関に対して協力を訴えていく。

 特に航空分野については、今後オープンスカイが進み成田や羽田のスロットが増える中、航空路線の新規開設や増便時に「相手国側の航空会社や旅行会社と連携したプロモーションをやる余地があるのではないか」という。

 加えて、クルーズについても「一隻あたり相当数が乗る。経済効果も大きい」ことから「訪日クルーズ観光の役割はどんどん大きくなる。積極的にやっていきたい」と意欲を示した。海外の見本市などを活用してピーアールしていく計画だ。さらに、国土交通省港湾局産業港湾課内に設置した「クルーズの振興のためのワンストップ窓口」について、外国クルーズ船社に対し周知徹底をはかっていくとした。

 また、久保氏は「(日本に)行きたい人々に本当に行ってもらうためには壁が少ない方がいい」とし、7月1日の訪日ビザの緩和を踏まえ、ASEANの残り3ヶ国にあたるミャンマー、ラオス、カンボジアの訪日ビザ緩和を関係各所に働きかけていくとした。

 このほか、道路を含む交通機関や美術館、博物館での作品解説などの多言語対応をさらに展開するとともに、ムスリム旅行の受入環境整備も強化していく。MICEについても、国際会議の誘致を積極的に展開していくとした。また、外国人旅行者向けの免税制度については免税項目の拡大などについて、取組を進めていく方針だ。

 さらに、久保氏は観光産業政策検討会が取りまとめた提言についても「急いで進めていきたい」とし、なかでも旅行業関連書制度の見直しについて、いろいろな人々の知見を踏まえて検討していきたいとした。9月にも有識者会議を設置し、検討を開始していく予定だという。