リピートされる航空会社とLCC市場-エイビーロード海外旅行セミナーより

  • 2013年7月23日

LCC、認知高まり過渡期に
業界からもサービスの違い説明を

 実は「エアライン満足度調査2013」では、総合10位にLCCのピーチ・アビエーション(MM)が初めてランクインした。再利用意向でも4位にMM(8.5%)、10位にジェットスター・ジャパン(GK)(5.0%)、11位にエアアジア・ジャパン(JW)(4.5%)がランクインし、人気の高まり具合がうかがえる。

 「国際線LCC利用意向と満足度に関する調査」2013では、LCC全体の認知率が86.5%と前年よりも4.4ポイント上昇した。認知率トップ1位はMM(65.2%)で、前年よりも9.1ポイント増加。3位のGK(48.6%)は12.3ポイント増、4位のJW(45.2%)は15.7ポイント増で、特に日系LCCが就航1年を経て順調に認知度を上げている。

 利用経験率は全体で前年より3ポイント増の14%と上昇。しかし、各社ごとでは1位のジェットスター航空(JQ)の5.0%をはじめ、1ケタ台に留まっており、実際の利用経験率はまだ低いようだ。


 利用者の満足度では「とても満足」(16.8%)が1.5ポイント減少したものの、「やや満足」(66.1%)は昨年と同じ。LCC優先利用意向では「LCCのみを利用する」(5.8%)と「LCCを優先するが、既存航空会社も検討する」(38.9%)を合わせた利用意向は5.3ポイント減の44.7%となった。今後のLCC利用意向は「積極的に利用したい」(18.4%)と「やや利用したいと思う」(37.8%)をあわせると56.2%で7.8ポイント減少。海外旅行回数別では、近距離方面への旅行の多いライト層が63.9%で他の層より高い結果となった。

 森戸氏はLCCの利用意向の減少について「マスコミに過剰に取り上げられてブームのようになったが、今は過渡期にある。ユーザーを選ぶサービスであることが認識されつつある」とし、今後も微減が続くと予想。マスコミの温度感にも変化があるとし、「結果だけを見て『LCCに乗らない』と思われるのは業界としてよくないこと。LCCのサービスに対する意識付けを業界としてもしていく必要があるのではないか」と問題提起をした。


 その例として森戸氏は、関西でのLCCの成功に今後のヒントがあるとする。エリア別のLCCの評価を見ると、関西の「とても満足」の割合は21.3%で、関東(12.9%)、東海(16.6%)よりも高い。個別の評価ではMMの認知度が79.0%と他エリアよりも圧倒的に高く、JQも関心が高い。

 2012年の海外旅行市場では国際情勢の影響から、韓国、中国の渡航者数が減り、近距離全体の渡航率が下がったが、関西市場は唯一伸びており、近距離レジャー市場の縮小をLCCが防いだという見方もできる。森戸氏は「今後、LCCはターゲットを絞ったニッチ・マーケティングの段階に入っていくべき。その積み重ねで結果的に市場全体を底上げしていくという構図が望ましい」との意見を示した。