アクセスランキング、1位はトラベル世界破産、夏の需要動向も

[総評] 今週は、トラベル世界が営業を停止し、破産申立をおこなうこととなった記事が1位になりました。老舗旅行会社でシニア向けに秘境系やSIT要素の強いツアーを提供し、日本旅行業協会(JATA)の活動にも関わるなど存在感のある会社でしたので、大きく注目を集めたようです。個人的にも、トラベル世界社員の方には取材などで大変お世話になり、親切に色々と教えていただきもしたもので、未だに信じたくない気持ちでいます。

 今回の営業停止について思うことはいくつもありますが、まず残念だったのはお客様に影響が出てしまったことです。債権者は400名から500名程度で、そのほとんどがお客様。営業停止と破産申立の方針が当日決まるはずがないにも関わらず直前までツアー参加者の募集を継続し、あろうことか営業を停止する当日にもセミナーを開催したことも確認されています。現場スタッフには知らされずに進められたということなのでしょうが、人間でいえばまさに「晩節を汚す」振る舞いといって良いでしょう。

 もう一つ気になるのは、同社が付加価値型の旅行業を続けてきていたところです。旅行業界では、価格競争から価値競争への転換が課題とされ、JATAも本腰を入れて取り組もうとしはじめたところで、価値を創造しその対価として利益を得るビジネスモデルへ移行することが明るい未来を保証するような感覚を抱きがちです。

 もちろん、トラベル世界の業績が悪化した頃に同社の「価値」がどうであったか定かではなく、はっきりしたことはいえませんが、付加価値型への転換のみを意識していれば良いということではないでしょう。その意味では、記事はランク外ですがJATA事務局長に就任された越智良典氏が会見で話されたように(リンク)、大きな枠組みでのサポートにも期待がかかります。

 今週はこのほか、夏の需要に関する記事もランクインしました。6位にはJATAの調査結果、10位にはジェイティービー(JTB)による予想が入ったほか、ランク外でもエイビーロードが問い合わせ件数をまとめた記事を掲載しました(リンク)。全体的に、近距離アジアの減少と長距離方面の伸び、日数の増加、単価の上昇などの傾向が読み取れ、昨今の旅行市場の動向がそのまま反映されているようです。

 面白いのはJTBの調査が方面別の旅行者数を2011年も並べて比較しているところで、例えば11年比で中国は33.9%減、韓国は21.3%減となっている一方、タイは80.4%増、ハワイは20.6%増、欧州は18.2%増となるなど、かなりのばらつきが出ました。

 出国者数の前年割れが続く原因には、間違いなく近距離アジアの影響があるわけですが、収益面では出国者ほどの減少に至らない可能性もあります。もちろん、だからといって至近の外国である中国やアジアの旅行者が減って構わないというわけもありませんし、個人的には中長期的に見れば間違いなく増えていくと考えています。

 しかし、先ほど触れた越智氏のお話しのような旅行会社が儲かる仕組みづくりや、価値論的な施策を進めるためには、収益性も重要な要素です。そう考えますと、アウトバウンドで2000万人、インバウンドで1000万人といった人数目標と同時に、旅行業界として別の指標を持っても良いのではないかと思われます。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年7月第1週:6月30日0時~7月5日18時)
第1位
トラベル世界が営業停止、債権者500名規模、負債4億円(13/07/01)

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第8位
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第10位
夏の海外旅行者5.8%減、単価は増加-JTB予想(13/07/03)