全日空とエアアジア提携解消、独自運航へ-NH側新会社は7月決定

  • 2013年6月25日

 全日空(NH)とエアアジア(AK)は6月25日、エアアジア・ジャパン(JW)の共同事業を解消する合意書に調印した。NHはAKが保有するJW株式のすべてを24億5000万円で取得して100%子会社とし、今年10月31日にエアアジアブランドでの運航を終了。11月以降に新しいブランドを含む新体制のLCCとして展開する予定で、詳細は7月末に発表する。

 NHとAKでは2011年7月にJWの設立を発表し、2012年8月に成田を拠点として初就航したが、業績が思うように推移せず、2012年度で35億円の営業損失を計上。ANAホールディングス上席執行役員グループ経営戦略部長の清水信三氏は6月25日の会見で、知名度が向上しなかったことやAK側が東南アジア市場で成功した戦略が日本市場にそぐわなかったことなどが一因と説明した。

 今後については、10月まではエアアジアブランドで運航を継続するが、11月1日までにAKからJWに貸し出していた航空機を返却するため、運航スケジュールの一部変更などが発生する可能性もある。また、11月1日以降は、「日本におけるLCC事業をより主体的に運営する」考えで、旅行会社経由など流通のあり方やサービスの細やかさなどに配慮し、より日本市場に受け入れられる運航体制をめざすという。

 ブランドは、関空を拠点として成功しているピーチ・アビエーション(MM)を活用する可能性もあるが、路線展開や再就航日を含めて検討し、7月末に発表する。FSCであるNHのみでLCCを運営するリスクについて清水氏は、「これまで約2年間、AKのLCC運営のノウハウを蓄積してきた」ことに加え、持株会社制に移行したことで個々のブランド戦略を展開しやすくなったとし、「100%子会社だからできることがある」と強調した。

次ページ>>▽AK側は「真のLCC事業」に注力、再参入を検討へ