日本航空、中計2年目のローリングプラン、「反省」生かし策定

  • 2013年5月2日

 日本航空(JL)は4月30日、「2012~2016年度JALグループ中期経営計画ローリングプラン2013」を発表した。昨年度に開始した中期経営計画の達成に向け、進捗状況と今後の方向性を再確認するもの。経営破綻前に「計画作成を重視する一方、その実行状況や達成度に対する振り返りが十分ではなく、結果についての分析、反省をふまえることなく、以後の経営を進めた」ことへの反省から策定したという。

 プランでは、12年度を「中期経営計画の『実行力』が試された年」であったとし、13年度を「中期経営計画の『真価』が問われる年」と位置付ける。12年度は営業利益率や自己資本比率などの当初目標は達成できたものの、13年度はボーイングB787型機の運航停止や為替動向などのリスクを克服し、高収益体質の確立のために「真価」が問われる年とした。

 このため、機材や座席、空港施設などのハード、機内エンターテイメント、機内食などのソフトに加え、予約、販売から空港や機内まで「ヒューマンサービス」を磨き、顧客に常に新鮮な感動を与えられる最高のサービスの提供をめざす。また、生産性向上による費用最小化も継続する。

 国際線関連では、2012年度に続いて欧米と東南アジアの中長距離路線に経営資源を集中的に投下。ヘルシンキ線の開設や、欧米、東南アジア、ホノルル線の機材変更などにより利便性と快適性を向上する。

 また、羽田では2013年度中に中国路線の開設と増便を検討。14年度以降も増枠分を最大限活用し、昼間と深夜早朝時間帯に欧米とアジアの主要都市への路線を積極展開。首都圏旅客の取り込みに加え、内際ハブ空港として利便性を「飛躍的に」引き上げるという。

 一方、成田では、14年度までに段階的に発着枠が拡大することをふまえ、際際ハブ機能を強化。近距離アジア路線ではジェットスター・ジャパン(GK)のネットワークも補完的に活用するという。

 さらに、欧米路線での共同事業について利便性の向上や効率性の追求により提携効果の最大化をめざす。また、共同事業の範囲拡大や新規パートナーの追加も進める。さらに、マレーシア航空(MH)やカタール航空(QR)、スリランカ航空(UL)、TAM航空(JJ)、USエアウェイズ(US)などワンワールドに加盟、ないし加盟を予定している航空会社の路線網も最大限活用する。

 また、ホノルル線ではビジネスクラスの座席改修など機内環境の改善やリゾート路線に適した機内食の提供などにより、JLならではのサービスの充実をはかる。加えて、ニューヨークでラウンジのリニューアルを予定する。

 国内線関連では、13年度以降「JALスマートスタイル」として、空港や機内の利便性を向上する新サービスを順次展開。運賃もシステム刷新に合わせてシンプルでわかりやすい制度に変更し、需要動向に柔軟に対応できるようにする。

 このほか、販売面ではオンライン販売について「いままでにない宣伝手法」の導入や、利用者それぞれのニーズに沿った提案、ダイナミックパッケージの商品拡充、購入方法の改善に取り組む。一方、旅行会社とも路線展開に合わせてコラボレーションし、JALパックも活用して需要を創出していく。

 海外発についても、欧米では共同事業を活用して相互販売額を増加し、アジアでは現地旅行会社との連携を深化する。