全日空、12年度増収増益、営利は過去最高に-13年は1100億円めざす
全日空(NH)グループの2013年3月期(2012年4月1日~2013年3月31日)の連結業績は、売上高が5.1%増の1兆4835億8100万円、営業利益は過去最高の7.0%増の1038億2700万円となった。尖閣問題やボーイングB787型機の運航停止の影響もあったが、国際線旅客事業を中心に需要喚起が奏功し、グループ経営戦略で掲げたコスト削減も着実に進めたことで、970億円の増収を達成。経常利益も12.4%増の769億6500万円と過去最高で、当期純利益は53.1%増の431億4000万円となった。
航空運送事業では、国際、国内線の旅客数増が牽引。B787運航停止による減収もあったが、売上高は4.8%増の1兆3235億円、営業利益も6.3%増の940億円となった。NH専務取締役執行役員の殿元清司氏はB787の影響について、収入面で70億円の減収となり、燃油費や空港費用など変動費を除いた利益面で見ると半分弱の35億円程度になると説明。影響は「(売上は)全体から見ると比較的軽微だと思っている。利益面でもそう大きくはない」考えを示した。
国際線では、ビジネス需要、レジャー需要ともに堅調に推移。中国路線は尖閣問題の影響で9月以降需要が急速に減退し、レジャー需要は今も影響が続いているが、ビジネス需要は12月には前年並みまで回復し、第4四半期には前年を上回る結果となったという。売上高は8.8%増の3483億円、旅客数は6.7%増の627万6000人、旅客単価は2%増となった。利用率は1.5ポイント増の75.2%だった。
国内線は、ビジネス、レジャー需要が堅調だったことや、海外居住者向け国内線運賃の新設などで需要を喚起したことが奏功。売上高は2.2%増の6659億円、旅客数も5.3%増の4108万9000人と増加した。旅客単価は2.9%減、利用率は1.2ポイント増の62.1%だった。
航空運送事業のその他収入では、エアアジア・ジャパン(JW)の収入の計上や、羽田、成田などでの受託航空会社数が増えたことによるハンドリング収入の増加で、12.3%増の1829億円となった。JWの12年8月1日から13年3月31日までの輸送実績は、国際線が旅客数6万人、利用率61.9%、国内線が旅客数34万人、利用率63.9%となった。
旅行事業は、売上高は1.3%増の1610億円、営業利益はコスト削減により14.7%増の44億円と過去最高を記録。海外旅行では国際線ネットワークの拡充に合わせた商品を積極的に開発し、「ANAワンダーアース」の新設で新規需要の取り込みをはかったが、中国の尖閣問題の影響による需要減退により、売上高は前期を下回った。一方、国内旅行では震災の影響から回復した東北方面と関東方面で旅行需要が拡大。ダイナミックパッケージ「旅作」も堅調に推移し、売上高は前年を上回った。
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