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アクセスランキング、1位はJL稲盛氏退任、業法など改正方針も

[総評] 今週は、日本航空(JL)取締役名誉会長の稲盛和夫氏が取締役を退任するという記事が1位になりました。経営破綻してから今日までのJLの軌跡は、間違いなく稲盛氏を抜きにしては成し得なかったものでしょう。多くのメディアが稲盛氏の特集を組み、JLにどのような変化をもたらしたかを伝えているところですが、それらを読むにつけ改めて稲盛氏の凄さに驚かされます。

 3月19日の会見では、ご自身でも「信じられないくらい素晴らしい成果」「奇跡的とも言える回復」と表現されていますが、11年度、12年度と2年連続で過去最高益を更新しようとする現状はまさに稲盛氏のご発言どおりです。日本の海外旅行にとってJLは、ジャルパックのブランドとともに黎明期からの牽引役であったわけですし、稲盛氏の「一番心配するのは慢心」というお気持ちが杞憂となるよう今後も着実に事業を展開し、さらに旅行業界が発展する原動力の一つとなって欲しいものです。

 さて今週はこのほか、5位に観光産業政策検討会に関する記事が入っています。アクセス数は大きく伸びませんでしたが、旅行会社、旅行業界への影響度という意味ではこちらの方が上かもしれません。というのも、この記事では旅行業法、標準旅行業約款、営業保証金、チャーターなど旅行会社に関する諸制度について、観光庁が見直す方針を示しているのです。

 もとも観光産業政策検討会は「世界最高・最先端の観光産業」をめざして、旅行業、宿泊業など観光関連産業の課題を議論し、提言としてまとめる場で、3月18日に最後となる第4回目の会合が開催されたものです。

 第3回までの会合では、残念ながら宿泊業やインバウンドに関する話題が焦点となり、旅行会社そのものについては目立った議論もなく終わってしまい、旅行会社に関する提言はどうなるのかと不安に思っていましたが、第4回で示された最終の提言案に突然、観光庁からの案として旅行業法を含む諸制度の見直しが盛り込まれたことは驚きでした。

 観光庁の提案として入ったわけですから、「見直しをはかるべきである」という提言はそのまま「見直しをはかる」という意思の表れと考えられます。ランキングには入っていませんが、観光庁長官の井手憲文氏によれば、検討作業が止まってしまっていた約款改正についても合わせて仕切りなおすことになるようです(リンク)。

 提言では同時に安全マネジメントとの確立も求められており、規制緩和と安全確保・消費者保護の両立という難しい問題に対処しなければなりませんし、利害の対立する様々な事業者の意思を集約し、消費者の理解を得るということは並大抵の努力では成し得ないでしょう。例えば現行の旅行業法についても、消費者保護を前面に打ち出したものであるとする意見と、業界側の理屈ばかりという意見と、相反する内容がそれぞれよく聞かれます。

 実際の見直しは、2013年度中に方向性を固めるということだけが決まっているだけでどのように進んでいくかも不明ですが、一つ確かなことは、他国の旅行会社や国内外のIT産業との競争条件の平等化のために制度を見直す以上、規制を緩和する方向で話が進む可能性が高いということです。

 となればどこまで緩和するかが問題になりますが、個人的にはやはり、安全や消費者保護に関する約束事は確実に遵守させつつ、できるかぎり自由に競争できるようにするべきなのではないかと思います。

 旅行の行程だけでなく、諸々のサービスや各種の情報の質と量などが目に見える形で差別化され、それを消費者が評価して対価を支払うようにならなければ、いつまでも旅行のコモディティ化が続きます。逆に、それを回避することが、値段と質のバランスで選択する自由を増すという意味で結果的に消費者の利益にもつながるのではないでしょうか。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年3月第4週:3月17日0時~3月22日18時)
第1位
日本航空、稲盛氏が取締役退任-植木社長、中計の必達強調、B787対応継続(13/03/20)

第2位
ANAセールス、新代表取締役社長に志岐氏-事業本部制導入も(13/03/18)

第3位
LCCも旅行会社が不可欠、相互利益の追求を商機に-JATA経営フォーラム(13/03/19)

第4位
ジェットスター・ジャパン、夏スケで増便-国内7路線で(13/03/17)

第5位
旅行業法など諸制度見直しへ、観光産業政策検討会が最終会合(13/03/18)

第6位
海外旅行業況、回復基調へ-アジア、韓国、中国上昇、3ヶ月後も継続(13/03/21)

第7位
全日空、4月からマイレージプログラム拡張-累積獲得マイルでプレゼント(13/03/19)

第8位
JTB、ハワイの若年女性向けイベント参加ツアー-ファッションショーも(13/03/17)

第9位
ANTA、一般社団移行で組織計画承認-東北支援継続、ASEAN交流強化も(13/03/17)

第10位
主要58社、1月の海外旅行が5ヶ月ぶりプラス、ロング好調か(13/03/17)