オンライン旅行会社台頭で法規制の見直しを-JATA経営フォーラム
インターネットの普及で電子商取引が増加し、国を越えての取引も容易になった。日本の旅行市場にも外国企業が参入し脅威となりつつある中、旅行業を取り巻く法律について問題視する声も多くあがる。日本旅行業協会(JATA)が2月26日に開催したJATA経営フォーラム分科会Aでは、「旅行業のグローバル化に伴う法規制のあり方について」と題し、欧米や豪州の事例を踏まえながら、グローバル化で旅行業の競争が激化する中、旅行業法や約款などの法規制のあり方について議論がおこなわれた。
風の旅行社 代表取締役社長 原優二氏
コメンテーター
フォーカスライトJapan主席アナリスト 兼 航空経営研究所主席研究員 志方紀雄氏
玉川大学経営学部観光経営学科教授 野村尚司氏
弁護士 三浦雅生氏
米国でオンライン旅行会社が活発化、旅行会社との提携も
分科会では、まず始めに志方氏が米国でのオンライン旅行会社(以下OTA)躍進の背景と現状について説明した。米国のOTAは、商品はサプライヤーが提供し、OTAはwebを通して消費者に商品の検索機能や購買機能を提供するかたちが一般的だ。1994年に開業したエクスペディアが先駆けだが、志方氏は1995年の航空会社のコミッションの一部削減開始などが、現在のOTAの躍進と深く関わっていると示唆。その上で、2002年に米国航空会社のコミッションが全面的に廃止されたことや、OTAやサプライヤーのオンライン直販の増加が、日本のIATA代理店にあたる米国ARC公認旅行会社店舗数の減少につながったと解説した。
また、OTAに続く動きとして、「roomkey.com」などのホテル直販サイト、「Google」や「Facebook」などの異業種参入、「グルーポン」に代表されるフラッシュセールなどを例として挙げた。特にGoogleは、「旅の需要喚起から手配まであらゆる場面に対応するサービスを傘下にしており、今後の動きが注目される」という。
こうした動きへの対抗処置として、米国ではOTAと既存の旅行会社の提携といった「Online To Offline」の動きが活発化している。日本でもエクスペディアとジェイティービー(JTB)が提携を発表しているが、志方氏は「既存の旅行会社の本分は、相談や組み合わせの付加価値造成にある。OTAと張り合い制限をするのではなく、提携などを通じて、競争と協調を考える必要がある」との考えを示した。