年頭所感、ニーズに応える商品力、変化へ意欲も-大手各社トップ
▽KNT-CTホールディングス
代表取締役社長 戸川和良氏
国内経済の中長期的不透明感や、ITの飛躍的進歩による生活様式、高齢化社会の進行による社会構造などの変化は、旅行業に多大な影響をもたらしている。IT専業者など異業種からの参入、航空会社や宿泊施設などサプライヤーと旅行会社との関係の変化などにより、これまでの事業モデルはお客様から支持を得られなくなっている。このような危機感を抱くにつけ、旅行業における新しい事業モデルを築いていくことが、生き残っていくための唯一の手段であると感じている。
こうした厳しい状況ではあるが、旅行会社はお客様に非日常的な体験、感動を提供する使命を持っている。この使命を社員全員が共有し、今回の近畿日本ツーリストとクラブツーリズムの経営統合の目的を実現することで、必ずや新しい未来を切り開いていけるものと考えている。
経営統合の最大の目的は、継続的な革新による収益力の維持・向上を大前提とし、両社の強みを掛け合わせたシナジー効果の創出による競争力の強化。それぞれの強みを生かした事業の掛け合わせにより、他社に模倣できないモデルを育て、当社グループの中核の一つとなるよう期待している。
経営統合の成否はどれだけのシナジー効果を創出できるかにかかっている。ホールディングスを中心とした全社的な推進に加え、各現場での小さな積み上げが全体として大きな成果となる。また、シナジー効果を継続的に創出するには、各社の社員の皆さんがwin-winを実感できるものにしなければならない。
私がめざすKNT-CTホールディングスの方向性は、まず「顧客に信頼される会社」。その土台は、一人ひとりのお客様のニーズが見えること、そして常にそれに応えていくこと。旅行業という形を持たないサービスを提供する業態では、基本中の基本かつ経営の中心に据えることだ。この基本がおろそかになっていないか、常に念頭に置かなければならない。いかなる場面でも、その業務がお客様のためになっているかという視点で議論、行動することだ。
次に、「社員が楽しく、力を合わせることのできる会社」だ。お客様の喜びを自分の喜びとして感じることが肝要。そのためには、社員の皆さんが楽しく仕事をしていなければならない。旅行業には装置がなく、「人」がすべて。常に高いモチベーションを維持できるよう「人」への投資を充実していく。
ホールディングス体制の以降に伴い、これまで以上に個別の事業会社の「自立経営」「利益最大化」が求められる一方、全体最適も追求しなければならない。これから新たな道を切り開いていくことになるが、中期的には安定的に利益を創出できる筋肉質な体質、そして社員が誇りをもって働けるKNT-CTホールディングスを築いていく。
▽阪急交通社
代表取締役社長 生井一郎氏
昨年は、ヨーロッパを中心とした世界経済の影響を受け、日本も景気が停滞する中、中国・韓国方面で領土問題が発生したことにより海外旅行者数が減少し、全般において厳しい一年であったと思う。
このような状況の中にあって当社は、震災反動、円高、ロンドン・オリンピック、東京スカイツリー開業などのプラス要因に加え、お客様のニーズを素早く捉え、柔軟にスピード感をもって市場に対応したことにより、現在の業績をあげることができたと考えている。
今年は昨年のような旅行にプラスに成るような外的要因は見当たらず、世界経済・社会情勢の変化など不確定要素が多く存在する。めまぐるしく変化する状況下、当社は今年創業65周年を迎える。この記念すべき年に、今まで培ってきたノウハウを活かした「新たなデスティネーション開発」「多様化するお客様の趣味・嗜好にあった商品の開発」により、お客様にご満足いただける商品の造成をさらに推し進めて欲しい。
また、今年は長野と青森に新規拠点を開設し、より一層地域の皆様に密着したツアー造成販売が可能となり、各拠点で相互協力することで、さらに大きなプラスの力が生まれる。
本年も引き続き、市場のニーズに柔軟に対応できるよう感覚を研ぎ澄まし、情熱をもって業務に取り組んでもらい、「安全」「安心」で「高品質」の商品を提供し「お客様支持率NO.1」の旅行会社をめざして行こう。
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