観光庁長官、来年の訪日は韓国とASEANに重点-観光産業促進やMICEも
観光庁長官の井手憲文氏は12月21日に開催した定例会見で、2013年の重点施策の1つとしてインバウンドをあげ、特に韓国とASEANへの取り組みを強化していく考えを示した。日本政府観光局(JNTO)発表の2012年11月の訪日外客数(速報値)は11年比17.6%増、10年比でも2.2%増となっており、井手氏は「今年は2010年レベルまで戻った。来年は韓国とASEANに力を入れ、さらに(訪日外客数を)伸ばしていきたい」と意欲を述べた。
韓国とは10月に開催した日韓観光振興協議会で、2013年の交流人口700万人の目標を設定し、13年を「日韓地方観光交流元年」とすることで合意している。このほど日本側の具体的な活動計画として「日韓地方観光交流推進計画」を策定。イベントを通じた交流拡大、スポーツを通じた交流拡大、温泉を切り口にした訪日旅行促進、の3つを重点交流テーマとし、各施策を実施していく計画だ。
具体的な取り組みとしては、日韓連携施策として、共通ロゴやポスターの作成などを実施。また、地方観光活性化につながる新たな旅行商品の造成をはかり、意欲的な地方に対してビジット・ジャパン事業での商品造成支援をおこなっていく予定だ。さらに、オールジャパンでの海外プロモーションの展開、イベントなどを通じた交流促進、地方観光情報の発信強化などを実施していくとした。
また、来年が日・ASEAN友好協力40周年であることから、ASEANに対し訪日プロモーションを積極的に展開していく。まずは1月から3月までの取り組みとして、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの5ヶ国の大規模旅行博などに出展。東南アジアの旅行会社約60社と、現地で訪日旅行商品販促のための共同広告の実施などピーアール活動や、タイ、シンガポール、マレーシアの旅行会社約60社の日本招請もおこなう。
さらに、ムスリム観光客の受入環境整備をはかり、ムスリム観光客向けのガイドブックの作成や配布、自治体や旅行関係者向けのセミナーの開催などを実施していく。こうした取り組みを通じ、2013年度予算で請求中の「東南アジア・訪日100万人プラン」へとつなげていく考えだ。
そのほか、井手氏は重点施策として、観光産業の強化、国内観光での新たなブランド戦略の策定、MICEの取り組み強化と戦略の策定をあげた。観光産業の強化では、今年9月に開始した「観光産業政策検討会」での取り組みを進めていく考えで、産業強化に必要なルールの見直しもおこなっていく。国内観光では2013年度予算で新たに請求した、観光地域のブランド確立をはかるための仕組みづくりに取り組んでいく。
また、MICEでは今年11月末に第1回MICE国際競争力強化委員会を開催。12月に小委員会を開催し、具体的なマーケティング方法を検討している最中であり、「来年のしかるべきタイミングで具体策を取りまとめ、実施していきたい」と述べた。