日本旅行、新中計で法人・個人旅行さらに強化-株式上場は見送り
日本旅行は12月19日、2013年から2016年度の中期経営計画「ACTIVE 2016」を発表した。企業ビジョンを「感動と満足を創出する、活力ある企業グループ」に改定。新たな経営目標として、確固たる収益基盤の確立、一定水準の利益確保、社員のモチベーション向上を掲げ、2016年度の数値目標として売上高4020億円、営業収益450億円、営業利益5億円、経常利益10億円をめざす。
2008年度から2010年度の中期経営計画で2008年度以降の早期にめざすとしていた株式上場については、新経営目標の設定に伴い、株式上場を見送る方針だ。理由としては、親会社のJR西日本が上場しているため、子会社である日本旅行が共に株式公開をする「親子上場」に対する批判の高まりや、旅行業界を取り巻く市場関係の変化、上場に関わるコスト増大などを踏まえたものとした。
中期経営計画では、基本的な取り組みテーマとして、ビジネスモデルの転換、人材の活性化、事業基盤の強化の3点を設定。ビジネスモデルの転換では、中核分野と位置づける法人営業と個人旅行営業をさらに強化する。また、人材の活性化では人材の確保や育成、社内コミュニケーションの充実を、事業基盤の強化ではCSRとコスト構造改革を推進していく。
ビジネスモデルの転換では、法人営業で堅調な需要がある教育旅行、MICE、BTM、インバウンドを強化。教育旅行では営業拠点の新設などで営業エリアを拡大するとともに、競争力を高めるため着地型素材の開発を進めていく。MICEでは首都圏の営業強化に加え、沖縄での取り組みを深化。取扱が大きいBTMでは、MICEやインバウンドなどとからめたワンストップサービスの提供にも取り組んでいく。インバウンドでは、オーストラリアを含むアジアや中国を主なターゲットに、医療観光や教育旅行の拡大をはかる。そのほか、日旅アメックスやJR西日本との連携による顧客の拡充もめざす。
個人旅行営業では女性、熟年やシニアマーケットを重点顧客層に設定。海外商品ではクルーズやビジネスクラス利用商品、目的型商品の拡充をはかるとともに、自社の強みと位置づけるヨーロッパ商品を増強。チャーター便やLCCの活用もおこない、マッハ・ベストツアーの売上目標として、2016年度で2012年度年初見込みより9%増の580億円をめざす。一方、国内商品ではJRグループの強みを活かし、赤い風船内でJRセットプランを拡充。12年度は赤い風船の売上のうち51%がJRセットプランとなる見込みだが、16年度は60%まで比率を高める目標だ。
また、販売施策ではインターネット販売を強化。ネット比率で、マッハ・ベストツアーでは売上で現状より約3%増の13%、赤い風船で約9%増の24%をめざす。女性向けサイト「たびーら」の拡充や、シニア向けのコミュニティーサイトも展開する計画だ。一方、店頭販売では、ヨーロッパデスクの拡充や商品説明会の増加をおこない、シニア、女性向けのコンサルティング営業を推進する。また、西日本エリアの店舗では立地を生かし、JRセットプランの当日受取サービスを展開していく。