HIS、チャーター子会社就航は来夏予定、まずは日本/バンコク

  • 2012年12月4日

HIS代表取締役会長の澤田秀雄氏  エイチ・アイ・エス(HIS)は12月4日、タイを拠点に国際チャーター専門航空会社「アジアパシフィックエアラインズ」を設立すると発表した。東南アジア地域のレギュラーチャーターの運航を中心に事業を展開していく。

 同日開催した会見でHIS代表取締役社長の平林朗氏は「自社で(航空会社を)保有することでスペースを確保でき、他社に差別化したオリジナル商品も造成できる」とメリットを説明。「ピーク時期にたくさん飛ばすことで需要も取れ、価格も安くできる。新しい旅行需要を作っていけるのでは」と期待を示した。年間売上目標は運航開始5年後までで3億米ドルとした。

HIS代表取締役社長の平林朗氏  路線はバンコクを拠点に、レギュラーチャーターの運航を中心に展開。日本や中国、東南アジアなどのアジア圏を中心とし、中近東にも運航する計画だ。就航地は需要の高い時期に合わせて決定していく考え。平林氏は例として、日本では年末年始、中国では国慶節や春節、タイでは4月中旬に仏暦の正月、中東ではイスラム暦の断食明けの休日などをあげ、「ピーク時期に(タイを中心に)拠点拠点から、より効率的に運航できるような計画を考えている」とした。将来的には日本/ハワイ、グアムなど観光に強い地域にも運航したいという。

 今後は許認可取得後、2013年夏以降に日本/バンコク線のチャーターを実施し、夏の需要の取り込みをはかる。成田をはじめ、地方数ヶ所からの運航を検討中だ。1日1便、多ければ2便程度の運航となる見込み。乗客は現在同社が実施してるチャーターではインバウンド2割、アウトバウンド8割で推移しているが、新会社では将来的にイン4割、アウト6割の比率をめざす。その後、10月の国慶節に合わせ中国、年末年始に合わせて日本、春節に合わせて中国、ゴールデンウィーク時期に日本などと計画中だ。

 使用機材は、まずは座席数が220席から250席の中距離路線機材2機を予定。数年後には中長距離機材6機から10機へと拡大する計画だ。平林氏によると、ボーイングB767、B777、B787やエアバスA330、A350を検討。機材はリースを予定しているが、将来的には購入する可能性もあるという。

 販売はHISだけでなく、HIS以外の旅行会社経由でも実施。チャーターの販売は旅行会社数社が協力すると効率的との考えから、とくに地方発チャーターについてはその地方が強い旅行会社と組んで集客し、地方需要の喚起をしていきたい考えだ。また、サービス面では、チャーター便であることを活かし、食事面やサービス内容を路線ごとに合わせて設定。価格に合わせたサービスを提供していく。

 また、HIS代表取締役会長の澤田秀雄氏は、タイを拠点した理由として、「アジアの中心であるタイに航空会社を作り、アジア全域に広げていくのが、コスト面や競争、集客の面でも有利になる」と述べた。タイは日本と比べて4分の1から5分の1のコストで会社を設立し、維持できるという。

 澤田氏はさらに、アジアの旅行需要が5年から10年で現在の10倍になり「アジアの旅行の大航海時代が訪れる」と指摘。東南アジアのオープンスカイも進むなか、アジアでの展開を強化していく方針だ。平林氏も、アジアで実施している現地発の旅行や、日本人の現地での受入事業を拡大したい考えを示した。