インタビュー:BA日本・韓国地区支社長のビシャール・シンハ氏
アジア路線の拡充重視
羽田の昼間は「可能性探る」
-日本に赴任されてから約6年間が経過されていますが、旅行業界の変化をどのようにご覧になっていますか
シンハ 6年前に日本に赴任した時、物事は現在とかなり異なっていた。例えば、旅行会社の経営環境も大いに変化してきている。航空会社側が運賃体系の透明性を高めた結果、“ba.com”で消費者が100ドルの運賃を見つけたとして、旅行会社で99ドルの運賃が提供されたとしても、50ドルのものは得られなくなった。
また、行政の変化も劇的だった。依然として規制を感じる場面もあるが、5年前とは大違いだ。消費者もFIT化、オンライン化が進んだ。業務渡航では、企業側が外国系航空会社を使うことに抵抗がなくなってきていると思う。
-そうした変化に旅行会社も対応する必要があるわけですが、BA日本・韓国地区支社長としてのお考えをお聞かせください
シンハ 航空会社と同様、合従連衡の可能性はあるだろうし、コスト削減のためにも必要に迫られるかもしれない。また、付加価値型のサービスも避けて通れない。消費者が望むものは、“ハッスルフリー”の旅行、あるいは航空会社やオンライン旅行会社では提供できない類のサービスだ。
いくらオンライン化が進んだとはいっても、オンライン直販と旅行会社の取扱量では比べ物にならない。BAはba.comと旅行会社を置き換えようなどということは考えておらず、今後も旅行会社との関係を強化する。
航空会社が魅力的な運賃を直販及び旅行会社に提供し、消費者はより良いサービスを求めて旅行会社に行く。旅行会社はそのサービスに対価を得る。こういった、バリュー・フォー・マネーの仕組みで収益を上げることが重要なのではないか。
-日本ではサービスは無料と考えられがちで、手数料収受は難しい課題です
シンハ 日本に限らずアジアの国々ではサービスに対価を求めない傾向があるが、例えば10の追加サービスのために20人雇用する必要があるならば、その費用をお客様に請求することは間違ったことではない。
一方で、例えば日本ではデパートなどでサービスの品質にいつも驚かされているが、使われる包装紙の多さにもびっくりする。卵がこんなに仰々しく包まれている必要はあるのか、などと思うことがあるが、きっと必要ないだろう。
本当はほとんどの人が必要としていないのに、当たり前のようにコストをかけて提供しているようなサービスは削る努力をするべきではないか。極端かもしれないが、数多くある“サービス”のうち幾つかを一度やめてみて、お客様から反応があるか確認してみても良いかもしれない。
-ありがとうございました