日系LCC、エアアジアは「国際線に軸足」、ジェットスターは国内線強化
航空政策研究会が11月30日に実施したシンポジウム「LCCへの期待と展望」で、エアアジア・ジャパン(JW)代表取締役社長の岩片和行氏は今後の戦略について「国際線に軸足を持っていきたい」方針を示した。
同氏はその理由として、国内線旅客機にかかる航空機燃料税や国内空港のコスト高を考慮すると、国際線の方がコストを下げて運航できる点をあげた。ただし、イベントリスクなどを考えると国際線1本に絞るのではなく、バランスをとる必要があるとの考え。「国際線、国内線で考えるのではなく、どちらが需要が高いか、同じ感覚で(路線を)広げていきたい」とした。将来的には他社が就航していない新規路線についても開設を検討していくという。
一方、ジェットスター・ジャパン(GK)代表取締役社長の鈴木みゆき氏は「まずは国内の路線網でしっかりと基盤を作っていきたい」とし、国内線を増やしていく方針を述べた。ターゲットは価格重視のレジャー層や時間的に余裕がある層を想定。まずはレジャー旅行者の需要に応じて路線を拡大する考えで、リゾート地への就航を検討しているという。また、路線ごとの1日あたりの便数を増やすことで、地方経済への貢献もはかる。
▽販売戦略、GKは旅行会社経由を強化-JWも協力方法を模索
シンポジウムでは販売戦略に関する2社の方針も示された。GKは販売チャネルの多様化をはかり、旅行会社経由の販売も強化する方針を示した。ジェイティービー(JTB)など旅行会社ともパートナーシップを組んでいるという。鈴木氏はLCC利用者のなかにも、旅行会社のパッケージツアーのように包括的な提案を求める場合もあるため「旅行会社のアライアンスは我々にとっても有意義なもの」と述べた。とくに平日など閑散期については「パッケージ化した商品の恩恵を感じる」という。
その一方、岩片氏はJWの基本的な考え方として、インターネットを活用したBtoC型のビジネスモデルを追求していくと述べた。JWは一部の座席はエクスペディアを通じて販売しているが、メインはウェブサイトでの直販だ。ただし、今後日本市場を拡大するためには旅行会社の協力も必要との考えから、岩片氏は「これから一緒にできることを探していきたい。今(旅行会社と)話を進めている」とした。