現地レポート:スリランカ、観光客をひきつける“光り輝く島”の多様な魅力

  • 2012年11月1日

8つの世界遺産、手つかずの自然や野生の象がいるワイルド・サファリ
伝統のアーユルヴェーダなど多様な魅力で幅広い層にアピール可能

インフラ整備が進む最中の東部海岸
古都キャンディを経てコロンボへ

ヒンズー教徒が祈りを捧げていたコネスワラ寺院は高台にあって、下に青い海が広がる  今回の視察では、内戦の影響から観光客が遠ざかっていた東部海岸へも足を延ばした。目の前に紺碧の海が広がるリゾートホテルもあって、ビーチリゾートとして期待されているトリンコマリーだ。道路舗装などのインフラ整備が今まさに進行中。眼下に望む極彩色のヒンズー教のコネスワラ寺院などの見どころもある。道路がまだ未整備の現時点ではここからキャンディに向かうと、最初の休憩まで3時間ほどかかった。スパイスについていろいろ教えてくれるスパイス・ガーデンなど興味深い寄り道はあるが、トイレ休憩には配慮が必要だ。

スリランカのいろんな地方の暮らしが反映された民族舞踊のキャンディアン・ダンス。衣装もそれぞれに異なる  古都キャンディはシンハラ王朝の最後の都。世界遺産に指定され、その王権の象徴であった仏歯を祀る仏歯寺は、白い塀の美しい小塔、黄金に輝く仏や仏歯の祠、そして何よりも敬虔な祈りを捧げる仏教徒の姿に、心打たれるものがあった。満月の夜には酒(観光客向けにも提供は控えられる)や肉を取らず、参拝するのだ。スリランカ各地の民族舞踊が繰り広げられ、最後には火渡りの儀式まであるキャンディアン・ダンスも必見だ。古都の佇まいの街も美しい。

コロンボのスパ・セイロンにて。フットマッサージも革張りのリクライニングで、心地よい  盛りだくさんのスケジュールでなかなか時間がとれなかったが、キャンディではアーユルヴェーダを体験した。スリランカでは、民間医療の一つとして健康を整えるために通うもの。飲み薬を出す場合もある。観光客向けには、マッサージ・フェイシャルパック・シロダーラ(額に精油をたらす)などのリラクゼーション・コースが一般的。日本よりはかなり安い。この後、コロンボで体験したラグジュアリーなスパも非常に丁寧で、女性向けにはやはり組み込みたいオプションだ。

格別の美しさだったキャンディの夕陽  都会のコロンボでは、洒落た雑貨店やレストラン、スパが揃う。世界遺産や自然の魅力を味わうのとはまた違う楽しみ方ができる街だ。コロンボと空港を結ぶ高速道路は来年早々の開通をめざし、2015年開業予定でシャングリラ・コロンボの建設が進むなど、さらに発展しつつある。

 スリランカの魅力は、一言では表現しがたいほど多様だ。コンデナスト・トラベラーの「2012年に訪れるべき観光地として世界の上位5位」に選ばれ、2012年は7月まですべての月で前年の観光客数を上回るなど、注目されるデスティネーションとしてのポテンシャルを感じた旅だった。


取材協力:スリランカ政府観光局、スリランカ航空(UL)
取材:小野アムスデン道子