JATA、旅博で就職支援セミナーを初開催-業界、会社研究不足が課題
日本旅行業協会(JATA)は9月21日、JATA博2012会場で旅行業界をめざす学生向けに就職支援セミナーを実施した。JATAが旅博の業界日に同種のセミナーを開催するのは今回が初めて。当日は学生を中心に約70名が参加した。
講師として登壇した日本旅行経営管理部広報室長の矢嶋敏朗氏は「観光学部の学生はあまりにも旅行業界、旅行会社のことを知らない」点を強調。学生には業界研究の重要性を訴えるとともに、学校側に対しても、旅行業の最新の動向を把握し、生徒に教えてほしいと呼びかけた。
矢嶋氏によると、学生の面接では企画や添乗の仕事がしたい、という意見が多く聞かれるが「なぜその会社を選んだか、何の企画がしたいのかまで落とし込めていない」のが現状だ。会社研究不足では、就職後に学生と会社との間でギャップが生じ、短期間で退職、転職するケースもある。こうした状況を防ぐため、矢嶋氏はインターンシップやOB・OG訪問、応募する旅行会社の店舗訪問、各社のパンフレット研究などを積極的に活用するよう説いた。
旅行会社側もミスマッチを防ぐためさまざまな対策をとっている。たとえば日本旅行では毎年インターンシップを実施。各業務の担当者による業務の説明、若手社員との意見交換会をおこなうほか、バス会社の現場視察や、旅博内での他旅行会社のインタビューなども実施しているという。
また、学生は「お客様に喜んでいただくだけでなく、収益を挙げなければならない」という視点が欠けていると指摘。旅行会社が求める能力として、コミュニケーション力や提案力などに加え、営業力が重要と述べた。
矢嶋氏は最後に「厳しい業界と言われているが、人を喜ばせたい、日本の将来の社会発展のために貢献したい、夢を実現したい、という人は是非旅行業の門を叩いて欲しい」と参加者に呼びかけた。参加した学生からは「ギャップがあったのが理解できた」「漠然と企画がやりたいではない。深さを感じた」との声が聞かれた。