市場拡大は個への対応、ニーズ具現化がカギ-JATAシンポジウム
9月21日に開催された、JATA国際観光フォーラム2012のアウトバウンドをテーマとしたシンポジウム「新たなマーケットの可能性と旅行会社の役割」で、パネルディスカッションのファシリテーターを務めたトップツアー代表取締役社長の石川邦大氏は、「新客層を取り込むことで拡大する可能性はまだまだある。ニーズに対応し、この商品があってよかったと思われる旅行を創ることが旅行会社の使命だ」と、議論をまとめた。
シンポジウムは、海外旅行者数2000万人を超える成長をするための旅行会社の役割と新たなビジネスモデルの方向性を導びこうとするもの。パネルディスカッションでは登壇した旅行会社4社が、独自の顧客層や新規客層の獲得に成功した事例を発表。石川氏は、要介護者向けの旅行を提供するSPIあ・える倶楽部や、山岳旅行市場を開拓してきたアルパインツアーサービス、テーマ性の強い旅行で高いリピート率を誇る朝日旅行などの例から「旅行会社、オペレーターともに一定レベルの知識が必要」とし、「従来よりも手間がかかるが、ニーズにマッチした商品を作ることが旅行会社の役割と、市場拡大に向けて旅行会社がめざす方向性を示した。
また、市場開拓に必要なこととして、働く女性の週末旅行市場を獲得した日本旅行の商品「週末トラベラー」の例、さらにフジテレビジョンによる旅番組のトレンド変遷の説明から、「対象を細分化してニーズを具現化することが大切。ライフスタイルマーケティングの導入が必要」とした。
このほか、素材手配側のオペレーター側からは、こうした商品造成のために旅行会社とのコミュニケーションを密にして、双方でプロダクト・マーケット・マッチングをしていくことが課題としてあげられた。また、グローバルスタンダードと異なる日本市場の商習慣について「日本市場の地位を下げている。商材確保では厳しい国際競争にさらされていることを共有したい」と警鐘を鳴らした。石川氏も「ニーズにあった商材確保は大切」と応えた。
▽登壇者
ファシリテーター
トップツアー 代表取締役社長 石川邦大氏
パネリスト
朝日旅行 執行役員 海外旅行担当 東京支店海外旅行部長 鹿野真澄氏
アルパインツアーサービス 代表取締役会長・CEO 黒川惠氏
SPI あ・える倶楽部 代表取締役 CEO 篠塚恭一氏
日本旅行 西日本海外旅行商品部 商品企画チーム マネージャー 山本文子氏
フジテレビジョン 専任局次長 谷至剛氏
ミキ・ツーリスト 代表取締役社長 檀原徹典氏