スターウッド、デジタルマーケの公開討論開催-SNSで新チャンスを

  • 2012年9月16日

 日本スターウッド・ホテルは先ごろ開催した「スターウッド・エキスポ・ジャパン2012」にあわせて、「旅行業界におけるデジタルマーケティング」と題したパネルディスカッションを実施した。多様化する顧客ニーズにソーシャルメディア(SNS)をはじめとするデジタルツールが果たす役割について、関連6社とスターウッド・ホテルから7名のパネリストが議論を展開した。

 まず、Twitter Japan営業戦略統括の葉村真樹氏がカナダ観光局とのコラボレーションを例に、Twitterの特性を紹介。インタレストでつながる人と人、リアルタイム性、情報の拡散性という特徴を生かしたマーケティング戦略の有効性を主張するとともに、「Twitterはユーザーが参加するお祭り」と位置づけ、マーケットの拡大と創造に寄与するとした。

 トリップアドバイザーのホテルリレーションズ・シニアマネージャーである河嶌佐登志氏は、第三者による口コミの力を強調。「昨年の震災以後、口コミの見方が変わり、その信頼度が高まってきた」と分析し、ホテルビジネスにおいてはオンシーズンとオフシーズンの口コミ内容を比較することで新たな販売戦略が展開できると提案した。

 スターウッド・アジア太平洋ディビジョナルオフィス・オンライン・ディストリビューション&マーケティング担当ディレクターのジャニス・チャン氏は、「トラベルはソーシャルそのもの」と話し、SNSの重要性を改めて主張。「ネガティブな口コミは、実は良い情報。改善につながる」とし、SNSに積極的に取り組んでいく姿勢を示した。また、モバイルディバイス戦略として各市場にあわせたアプリを提供していることを紹介。近い将来には日本市場向けのアプリを提供する計画を明らかにした。

 そのディバイスについて、ナビタイムジャパン企画部部長の萩野良尚氏は「昨年あたりからスマホの普及によって環境が劇的に変化した」と分析。PCは平日、スマホは週末祝日と利用方法が明らかに分かれているとした。また、今後の期待として、空き駐車場の検索のようにホテルの空き部屋が分かるシステムができないか検討していきたいと話した。

 システム開発を手がける新日鉄ソリューションズ技術本部システム研究開発センター先端アプリケーション研究部上席研究員の小島一仁氏は、システムをスマホ専用のネイティブアプリ、ウェブアプリ、そして2つをあわせたハイブリッド型に分け、それぞれの有効性を説明。そのなかでスマホについて、ピンポイントの場所だけでなく周辺で起きていることもリアルタイムで情報提供できるのが最大の強みだとした。

 ジェットスター・ジャパン(JQ)財務本部長CFOの博多一恭氏は、JQがフェイスブックで展開している「Finding MIHO!」キャンペーンに言及。オンライン上でイベントを展開することで、新しいマーケットが創出されていると紹介した。また、「さまざまな業界で対面からネットへの販売に移行している」とし、今後もSNSの活用は広がるだろうとの見解を示した。

 楽天トラベル国際営業統括部アセアン・オセアニア統括グループマネージャーの七尾尋尚氏は、「まだまだアウトバウンド需要の潜在性は高い」との認識を示し、旅行と親和性の高いSNSを利用した需要喚起に期待を寄せた。SNSは直接的には収益につながらないものの、オフラインではリーチできなかった顧客の声を吸い上げることができるとし、それが最終的には旅行需要の拡大、そして収益の拡大につながると主張した。


※訂正案内(2012年9月18日 10時30分 編集部)
河嶌佐登志氏のお名前を誤って表記しておりました。
訂正し、お詫び申しあげます。(編集部)