レイルヨーロッパ、F1層掘り起こしねらう-新型車両の投入も

  • 2012年9月16日

レイルヨーロッパ・ジャパン在日代表の加々美恵理氏  レイルヨーロッパ・ジャパンはこのほど都内で記者会見を開催し、2012年秋冬の戦略を発表した。代表の加々美恵理氏は、F1層をターゲットにプロモーションを展開していく考えを示した。まずは9月7日からユーロスターを活用した「ロンドン&パリ ショッピングツアー」キャンペーンを実施し、F1層の掘り起こしをはかる。

 キャンペーンでは特設サイトを設置し、ロンドン、パリでのショッピングの魅力や、ロンドン/パリ間を2時間15分で結ぶユーロスターの利便性を紹介。ヴァージン・アトランティック航空(VS)の東京/ロンドン間往復航空券とユーロスターのロンドン/パリ間の往復乗車券のセットなどがあたる、プレゼントクイズも設定した。今後はフェイスブックやピンタレストなどのSNSを活用し、プロモーションを展開していく考えだ。

 加々美氏によると、日本人利用者のうち80%がFITで、このうち3分の1をF1層が占め、残りはシニアとビジネス客がそれぞれ3分の1を占めているという。2012年度上期(1月~6月)の売上は前年比22%増で、順調に売り上げを伸ばしている。利用者数は27%増の19万5000人と増加。日本人の利用はオーストラリア人に次いで多く、世界2位の売上だという。また、ユーロスターも好調で、売上は25%増の130万ユーロで、日本マーケットは世界6位だった。

 加々美氏は「テロ事件などの有事の際にも日本人旅行者には大きなぶれがない」とし、昨年の震災の影響もなかったと述べた。鉄道がヨーロッパの主要駅の多くを短時間で結んでおり、駅が町の中心にあることなど利便性の高さが、利用者増の理由との考えだ。利用者のうち46.3%が高速鉄道のプレミアトレインの利用で、1、2ヶ国に重点をおいて周遊する人が多いという。

 また、会見ではユーロスターに新型車両e320を導入すると発表。最高時速は320キロで、座席数は900席に拡大し、全車両でのWiFi利用が可能になる。これにより、ロンドンからパリまで2時間、ブリュッセルまで1時間半、アムステルダムまで4時間と所要時間も短縮されるという。

 加々美氏は「この先も2020年までにヨーロッパの主要都市すべてを高速電車が結ぶ計画。日本では廃止される傾向にある食堂車や、アッパークラスになると特産のワインや軽食のサービスもあり、移動以外の楽しみもある」といい、日本市場で鉄道旅の利便性と楽しみを周知したいと意欲を示した。