“非常に満足”な旅行の行動パターン-現地の情報提供もポイントに

  • 2012年9月13日

 エイビーロードリサーチセンターが7月下旬に開催した「海外旅行セミナー2012」では、「リピートされる観光地とは?」の調査発表があった。旅行前や旅行中の情報接触について、国内地域への旅行者増加のヒントを探る目的で調査したものだが、じゃらんリサーチセンター研究員の加藤史子氏は「日本人の旅行検討や行動パターンは、国内旅行でも海外旅行でも共通項が多いのではないか」と発表の主旨を説明。発表時間は20分のため、エッセンスのみの内容であったが、旅行会社などの事業者側が旅行者の満足度を引き上げるためのポイントとなりそうな要素が見受けられた。




調査概要
調査名:旅行検討プロセスにおける情報接触調査

目的:中長期的な来訪者増加をめざし、旅行者の旅行計画と計画のための情報収集・接触の実情を調査する
調査数:スクリーニング調査/3万8880人
    本調査/1000人(東京圏、中京圏、大阪圏に居住する20歳~59歳の男女)
対象者:調査実施3ヶ月以内に宿泊を伴うレジャー目的の国内旅行を経験した人で、自分が中心となって検討・検討した人。旅行形態は国内手配旅行のみ


事前の期待を超えると再訪へ

 加藤氏は旅行市場について「嫌いという人が非常に少ない市場」と説明する。旅行に行けばほとんどの人が満足し、「また行きたいか」と聞くと、漠然と「また行きたい」と答える。国内旅行の場合、その割合は100人中95人だという。

 しかし、「本当に行くか行かないかは別。動機が強くないと実行に移されにくい」とも指摘する。そのため、リピートに関する調査では単に「行きたいと思う」ではなく、「非常に行きたいと思う」の回答を重視。

 例えば、旅行満足度別に再訪意向を見てみると、直前の旅行が期待通り「満足」だった人が「非常に行きたいと思う」と再訪意向を示したのは28.3%。しかし、事前の期待を超えた「非常に満足」な旅行をした人の「非常に行きたいと思う」との回答は63.4%と倍以上に増大する。調査では「今後1年の間に」「今回と同じエリアに」「宿泊」する旅行に行きたいかと、具体的に聞いており、加藤氏は「非常に行きたいと思う」との回答であれば、リピートにつながる可能性が高いとする。

 ただし、「非常に満足」な旅行をした人は全体の18.3%と割合は少ない。全体的に満足度を引き上げていくことは、今後の課題のひとつとなっている。