インタビュー:スターフライヤー営業本部長の高橋信氏

  • 2012年6月26日

釜山線の成功へ注力
日帰り旅行も促進、サービスと運賃で勝負

 7月12日、北九州/釜山線に就航するスターフライヤー(7G)。国際線定期便を運航する日系航空会社としては、日本航空(JL)、全日空(NH)に続く3社目となる。新興LCCの就航に注目が集まり、市場の変化も予測される中で、高品質なサービスと低価格の両立という独自の戦略を掲げる7Gは、海外旅行市場にどのような変化をもたらすのか。7G取締役執行役員営業本部長の高橋信氏に、国際線就航に向けた取り組みや今後の路線展開の可能性を聞いた。


-北九州/釜山線就航のねらいをお聞かせください

高橋信氏(以下、敬称略) 6年前に国内線を始めたが、個人的には最初から国際線は当然するべきものだと考えていた。2008年に国際線チャーターの運航を開始し、2009年にはチェジュ航空(7C)の九州地区GSAとして国際線航空券の取り扱いを始め、国際線の経験と実績を積んできた。

 釜山に就航する理由は、北部九州の需要が見込めるためだ。北部九州と釜山の間には年間100万人の往来がある。多い時は120万人規模だったそうだ。これらの人々はこれまで基本的に船で移動してきた。このうち14万人から15万人を取り込み、ロードファクター65%を維持していきたい。


-ターゲット層はどう想定していますか

高橋 通年では、アウトとインで5割ずつを想定している。日本発については、北九州空港に近い場所に暮らす人々。例えば下関あたりの方々も、釜山に行くために博多を経由していたが、より近いところに発着便があれば利用していただけるだろう。船と飛行機ではなく、エリアの争いだ。

 これは国内線と同じ理屈で、北九州空港発着の既存国内線をご利用になるお客様は、便利だから利用してくださっているはずだ。地区で差別していきたい。

 また、地理的に北部九州には在日の方も多く、両地域は歴史的にも親しい。我々のスタッフにもいるが、レジャーだけでなく、普段の生活の中で親戚を訪ねるような交流の需要も見込める。


-1日2便の運航頻度は思い切った判断だと思われます

高橋 1日2便については社内でも意見が割れた。初めから週14便は無謀だという声もあったが、私は日帰り旅行を進めていきたい。国際線としては初めて日帰りのための運賃を作った。真夏でも7000円くらいで日帰りできる。船で日帰りをしようとすると12時頃に釜山に着いて、釜山発の最終便が15時頃になってしまうが、我々のスケジュールでは滞在時間が10時間ある。

 時刻表上で飛行時間は50分のみ。われわれの本社がある小倉から博多まででも特急列車で40分程度、料金面もほぼ同じなので、小倉から博多に日帰りで遊びに行くように「週末ちょっと釜山に行って、焼肉を食べてマッサージでもして帰ってこようかな」と、そういった使い方をしていただければ。

 そしてそのためには、やはり1万円を切っておかないと値ごろ感がない。ここが一番のセールスポイントだ。