JATA菊間新会長、「大きなうねり」で改革へ-基本路線は踏襲

▽旅行会社のスキルアップが必要、JATAでサポート

 また、菊間氏は消費者の旅行会社離れが進むなか、旅行会社のビジネスモデルを見直していく必要があるとの考えを示した。今まで旅行会社は消費者に信用を求められていたが、今後は消費者にたよりにされる存在であることが必要と述べた。そのためには旅行業全体のスキルアップが必要とし、スキルアップのためのサポート体制を確立していく考えだ。

 菊間氏は「旅行会社はこれから先、自らのノウハウで作った商品の価値で消費者に購入してもらうという形になっていかざるを得ない」と指摘。商品力の向上こそ旅行会社の得意とする力を発揮できるところとし、生き残るためのスキルアップの必要性を説いた。一例として、航空券やホテルなどの仕入れをあげ、仕入れ段階で買い取り、自己責任で必ず売り切るなどしなければ、いい商品は作れず、サプライヤーから頼りにされるような産業にはならないのでは、と意見を述べた。


▽海外旅行は旅行会社の存在感を強調、国内旅行は商品の多様化へ

 今後の方針としては、海外旅行では、ビジット・ワールド(VW)事業をより強化していく。また、2016年までに海外旅行者数2000万人をめざすという目標については「なんとしても達成したい」と意欲を示した。ただし、2000万人のうち旅行会社経由で旅行をする消費者がどれくらいいるかが課題であるとし、「旅行会社を必要してもらえるような体制作りをしていかないとならない」と述べた。

 国内旅行については、幅広いテーマ性があるような「SITを対象にした商品などが出てきてはじめて国内各地が脚光を浴びる」とし、商品の多様化の必要性を訴えた。一方、インバウンドについては、JATA会員でインバウンドを扱う会社はまだ少ないとの考え。今後は会員全体でインバウンドへと取り組もうという機運が生まれるような仕組みの構築をはかる考えで、観光庁とも協力しながらインバウンド拡大を進めていく。観光庁の方針に沿って進めていくだけでなく「(JATAが)主体的に動いていけるような環境整備ができれば」との考えを示した。