現地レポート:南アフリカ、王道ルートで探る新商品、新客層-インダバより
日本人訪問者数25%増へ、新たなピークを探して
ケープタウンモノやハネムーナー、新テーマも
今年もアフリカの恒例トレードショー「インダバ」が今年も南アフリカのダーバンで開催された。現地からは1500にのぼる出展者、世界各国からメディア、バイヤーを併せて1万を超える来場者があり、盛況を呈した。2010年のサッカーワールドカップ以来、盛り上がりを見せる南アのツーリズムの“今”を目の当りにすることができるイベントである。これにあわせて実施されたFAMツアーとあわせ、レポートする。
日本市場のポテンシャルに期待
開会セレモニーで南アフリカ観光局(SAT)の最高経営責任者チュラニ・ンジマ氏はここ数年の南アフリカのツーリズムの健闘をたたえつつ、2020年までに旅行者数1500万人を目標に掲げた。世界的な不況の只中において、これまでのメインターゲットであったヨーロッパは引き続き重要な長距離方面の市場ではあるものの、ブラジル、インド、中国といったBRICsの国々からの渡航者数が目覚ましく伸びており、「新たなターゲット」への可能性に期待を寄せる。
アジアは全体で前年比57.0%の伸びを示し、南米と並んで注力していきたいエリア。日本市場は震災があったにもかかわらず健闘しており、今年1月の日本人渡航者数は1666人と前年同月比で25.2%増加している。2011年通年の人数は前年よりわずかに減ったが、10年にサッカーのワールドカップ(W杯)があった6月を除いて計算すると、増えている。ンジマ氏は「(災害があったため)飛躍的な増加は難しいかもしれないが」と前置きしたうえで、今後も直行便はないが容易に渡航できる旅先であること、南アフリカだけを渡航する場合は黄熱病の予防接種は必要ないことなどをアピールしていきたい考えを示した。
SATリージョナル・マネージャー:アジア・パシフィックのブラッドリー・ブラウワー氏によると、日本人観光客の心配するところの犯罪率について「南アフリカは変わった」という。W杯以降、パトロールの警察官が増員され、犯罪発生率は47%下がった。夜間のひとり歩きをしない、危険と言われる場所へ立ち入らないなど、一般的な注意事項を守っていれば女性のFITでも十分安心して楽しめると強調する。今年は昨年よりも多い3万1000人の誘致を目指す。
日本人観光客の南アフリカへの渡航時期ピークは10月。ジャカランダの花を見るツアーだが、SATトレードリレーションシップ・マネージャーの近藤由佳氏は「もうひとつピークをつくるのが課題」と話す。何か新しいテーマの設定による盛り上がりを見つけたい。
南アフリカのターゲット層は主にシニア層だというが、今回日本からインダバに参加した旅行会社はハネムーン、シニア、FITとそれぞれ厚い顧客層が違っていることからも、さまざまな層にアピールできるデスティネーションであることがうかがえる。インダバでも新しい素材を探して情報収集する姿が見られ、「定番」や「王道」だけではない、新しい南アフリカが求められているのだと感じた。