オーストラリア、継続的な成長に向け追加予算-ATE2012開幕
(パース発:本誌 松本裕一) 西オーストラリア州のパースで6月15日、旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2012」が開幕した。海外からオーストラリアへのインバウンド拡大を目的としたもので、東半球と西半球の市場ごとに連続して実施。今年は東西合計で、セラーとしてオーストラリア国内の600社から1700名、セラーは約40ヶ国から700名が参加。東半球に分類される日本からは、過去最高となる66名が会場に集まっている。
ATE会場内で業界メディアのインタビューに応じたオーストラリア政府観光局(TA)本局局長のアンドリュー・マカボイ氏は、日本市場が訪問者数と消費額の両面で上位5市場を維持していることを説明し、「極めてイールドが高い」と評価。日本人訪問者数は今後、年間45万人から50万人に落ち着き、ピーク時の規模には戻らないとの見方を示しつつ、「レジャー需要が強く、消費額が大きい。さらに、オーストラリア全土をより“深く”訪れる」ことから、日本市場の重要性は変わらないと語った
TAによると、2012年4月までの日本人訪問者数は7.4%増、レジャー需要に限定すると10%増で推移。マカボイ氏は、年間45万人から50万人の規模に引き上げるため、今後数年間は2桁のプラス成長を続けたいと語り、追加予算を投入することで需要回復を促進する計画を明かした。追加予算はアジア市場での活動強化のためにオーストラリア政府が用意するもので、7月からの2012/2013年度では全体で850万豪ドルを計上。日本市場の額は明らかにしなかったものの、「相当程度を投じる」考えという。
具体的なプロモーション計画は未定だが、旅行関連企業と共同で「消費者にもう一度オーストラリアへの興味を抱いてもらうことを目的とし、回復の兆しが見えている需要をさらに押し上げたい」という。なお、追加予算は2013/2014年度以降の3年間も1400万豪ドル、1700万豪ドル、2100万豪ドルを投下していく方針だ。
一方、通常予算の使途の見直しの中で、日本市場向けの旅行商談会「JAM」は開催しないことを決定。これは、日本に限らず「旅行会社の社員に現実のオーストラリアの体験を提供し、オーストラリアについてより深く、より多く知っていただきたい」ためで、より多くの旅行会社社員をオーストラリアを訪れる機会を用意する方針。今回のATEで日本からの参加者を増やしたのも、この考えに基づくもので、今後はATEのように大きなイベントだけでなく、個々人を招待することも考えているという。
また、JAMの開催を見送る代わりに、日本にミッション団を派遣したいと考えている州政府や地域の観光局の訪日をサポート。TA日本局長の堀和典氏は、「州や地域、あるいは個別のサプライヤーによってタイミングやニーズが異なる」中で、「テーラーメード型のアプローチ」が可能になるとの考えで、最終的にJAM開催時よりも多くのプロダクトが日本市場に紹介される結果をめざすという。