観光白書、観光立国推進基本計画、震災の影響と復興テーマに
政府は6月15日、「平成23年度観光の状況、平成24年度観光施策」(平成24年版「観光白書」)を閣議決定し、国会で報告した。白書の第1部では今年3月に策定した観光立国推進基本計画で決定した目標について、前基本計画の目標の達成状況とともに記述した。また、「東日本大震災の影響と復興」をテーマに設定し、震災による影響や復興に向けた取り組みなどを説明した。
「東日本大震災の影響と復興」では、訪日外国人の動向分析を紹介。訪日外国人旅行者数は、11年4月は前年比62.5%減と単月の減少幅で過去最大を記録したが、5月以降は回復。12年3月には92.4%増、10年比でも4.4%減まで回復した。地域別でもほぼ同じ傾向で、特に沖縄は中国人観光客用の数次ビザを開始した7月から大幅に増加。ただし、東北地方は減少が続いているとした。
日本人国内宿泊者数の動向では、震災直後の11年3月は前年比25.8%減となったが、震災後は回復傾向にあり、11年7月は1.9%増と初めて前年を上回った。地域別では、岩手、宮城、福島の東北3県で4月以降、ビジネス客中心の宿泊施設が好調に推移。復興・復旧関係者や被災者が多く宿泊したためと分析する。観光客中心の宿泊施設も同様の需要があったと見込むが、7月以降は前年を下回っていることから東北3県の観光需要は十分に回復していないとする。
復興に向けた取り組みでは、訪日外国人旅行の促進をはかり正確な情報発信に努めるとともに、メディアや旅行会社の招聘事業、主要国政府や一般消費者への働きかけを段階的に実施。また、国内観光振興策として国内旅行振興キャンペーンや東北観光博をはじめとした取り組みを展開した。
さらに、白書では国内外の観光分野に影響を与えた災害からの復旧・復興事例を掲載。スマトラ島沖地震や阪神淡路大震災などの事例をあげ、結びとして災害に対する日々の危機管理意識の必要性を指摘。震災を乗り越え、日本の魅力を再発見し、新たな観光資源として形つくることができれば、東北地方のみならず日本の観光全体に新たな地平が開かれるのでないか、と締めくくった。
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