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アクセスランキング、1位はシンガポール航空LCC、2位はJTB

  • 2012年6月8日

[総評] 今週は、シンガポール航空(SQ)子会社のLCCであるスクート(TZ)が東京/台北/シンガポール線に就航するというニュースが1位になりました。1ヶ月以上連続で上位3位以内にLCCの記事が入っており、当欄を担当する身としてはいささか食傷気味なのですが、TZの日本就航は予想以上の早さで驚きを覚えました。

 TZは、中長距離専門のLCCとしてSQが設立した航空会社で、ボーイングB777型機を使用してシンガポール/シドニー線の運航を開始しているほか、東京に加え、バンコクや天津などへの就航も発表しています。

 もともとLCCといえば小型機、短距離区間の多頻度運航、モノクラス、サービスの有料販売といった点が共通の特徴といわれていましたが、TZは2クラス構成の大型機で中長距離専門です。サービスの有料販売はフルサービスキャリア(FSC)でも始まり、一方で無料の食事を用意するLCCも出ていますから、当欄で以前から指摘してきた通り、「LCC」という言葉が標語でしかなくなり、航空会社のハイブリッド化が進んでいると改めて感じます。

 そう考えると、LCCは“Low Cost Carrier”ではなくて“Lower Cost Carrier”、つまり、FSCとはビジネスモデルが異なり、コスト構造の次元が違う航空会社ではなく、同列で比較可能な、ユニットコストが比較的低い航空会社と定義した方がしっくりくるように思います。FSCと差別化したいLCC側からすると嬉しくない話でしょうけれども。

 ところで、TZの就航で気になるのはSQとの棲み分けです。もともと日本/シンガポール間は、かなり座席供給量の多い区間で競争も激しく、そこに参入するわけですからSQ側にも影響は確実に出るはずです。台北経由の選択は、この辺りの配慮もあったのではないかと思われます。

 SQ日本支社長のデイヴィッド・リム氏は以前、JATA国際観光会議のパネル・ディスカッションで「LCCはエネミー(敵)」と断言されていましたが、どのように迎え撃つか非常に興味深いところです。また、迎え撃つ相手がリム氏に日本支社長を引き継いだキャンベル・ウィルソン氏というのも、日本の旅行業界関係者にとっては何となく因縁めいたものを感じさせます。

 今週はこのほか2位にもLCC関連のニュースが入っており、ジェイティービー(JTB)がジェットスター・ジャパンの座席を利用し、国内のパッケージツアーの販売を開始するという内容です。旅行業界が大きく変わるような話ではありませんが、LCCによる座席供給量の拡大を旅行会社が無視するわけにはいかない中で、最大手のJTBが一手目を打ったという点で大いに注目すべきニュースだと感じます。

 TZも、ウェブサイトの最上部に“Travel Agents”と旅行会社向けのページを用意していますが、LCCが多様化するにつれて旅行会社を頼みにするLCCも増えていくでしょう。3位の記事の通り、エアアジアX(D7)も旅行会社経由の販売を5割まで拡大したい考えだそうです。一方で、LCCの参入による競争激化で旅行会社の役割を見直すFSCが出てくる可能性もあるはずです。

 今後数年間で旅行会社と航空会社の関係がどのように変わっていくのか、まったく予想もつきませんが、この変化は旅行会社自体の変化にも決定的な役割を果たすように思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年6月第2週:6月3日0時~6月7日19時)
第1位
シンガポール航空のLCC、東京に就航へ、台北経由で(12/06/05)

第2位
JTB、ジェットスター・ジャパンで国内ツアー-札幌2日間1.63万円から(12/06/05)

第3位
エアアジアX、旅行会社経由の販売に意欲-ビジネス、レジャーターゲットに(12/06/07)

第4位
デルタ航空、短距離路線にもプレエコ導入、日本発全路線に(12/06/03)

第5位
成田、LCC用暫定国内線施設、秋には供用開始へ(12/06/03)

第6位
エジプト航空、成田線順調、ロードファクター7割-乗継需要が好調(12/06/03)

第7位
現地レポート:クロアチア、ドブロブニク路線増加で新商品の可能性も(12/06/07)

第8位
日本航空、取締役を7名体制に、上川氏が取締役に昇任へ(12/06/05)

第9位
成田/ドーハの発着枠、週14便に拡大、羽田就航も-13年夏以降から(12/06/03)

第10位
変化の波に乗れ、急速に変化を続ける世界への対応-WTTCより(12/06/05)