JATA、高速ツアーバスの安全対策指針策定へ-新制度移行を呼びかけ

  • 2012年5月23日

 日本旅行業協会(JATA)は、国土交通省からの高速ツアーバスなどの安全対策強化の要請を受け、国内旅行推進委員会内に設置した貸切バス部会で議論を進めている。安全対策の指針を作成し、6月中を目処に国土交通省に提出したい考えだ。

 JATA国内旅行業務部部長の興津泰則氏によると、いままでは消費者に対して旅行会社側の安全対策を明記したものがなかった。しかし、ドライバーの交代要員の人数や休憩の実施など、安全対策の実施についてパンフレットに入れ込むなどの案を検討。「お客様が判断できるような指針を考えている」という。

 またJATAでは、日本バス協会が11年度から開始した「貸切バス事業者安全性評価認定制度」の認定取得を、貸切バス事業者に要望していく考え。2011年12月7日現在、認定を受けているのは全国の224事業者であり、全事業者の5%未満。JATAでは認定業者を活用するよう会員に呼びかけており、指針にも盛り込む考えだが、事業者自体が少ないため、認定取得を促したい考えだ。さらに、消費者にも制度の認知促進をはかる。

 加えて昨年、全国旅行業協会(ANTA)や高速ツアーバス連絡協議会の3者で決定した、「安全運行パートナーシップ・ガイドライン」を指針策定に活用していく。これは行程作成や提出のタイミング、法令に基づいた乗務員の適切な休憩、宿泊確保を求めるもの。今後会員各社内の認知浸透に向けた取り組みも進めていく。

 さらに、「新たな高速乗合バス」への移行も会員各社に指導していく。これは現在高速ツアーバスを企画・実施する旅行業者が、一定のバス車両を保有する乗合バス事業者に移行するもの。運行の一部は貸切バス事業者に委託可能だが、委託の際に個別に国の許可が必要となる。

 興津氏は、「今まで旅行業者だったものが、新制度では自らが運送事業者になるため、運行管理が義務付けられ、安全確保の責任を追うことになる」とし、「移行を早期にしてほしい」と呼びかけた。JATA会員各社では1種、2種合わせて8社が「新たな高速乗合バス」への移行の対象になっており、早期移行をめざし各社に働きかけているという。