ランデブー・カナダ開幕-体験の「感動」アピール、独自性強調

  • 2012年5月14日

ランデブー・カナダ中は「シグネチャー・エクスペリエンス・コレクション(SEC)」などについて各種のセッションを開催 (カナダ・エドモントン発:本誌 栗本奈央子) カナダ観光局(CTC)は現地時間5月13日、ランデブー・カナダ2012を開幕した。今年はホテルや観光局などを含む504社のセラーと、20ヶ国以上から343社のバイヤーが参加。日本からは、カナダ現地のランドオペレーターやメディアなどを含めて22社が会場に集まった。5月14日から16日の3日間にわたり商談が実施される予定だ。

 初日は、CTCが昨年からカナダならではの体験を打ち出すことを目的に開始した「シグネチャー・エクスペリエンス・コレクション(SEC)」に関するセッションを実施し、SECやその活用方法を説明。CTC日本地区代表のモリーン・ライリー氏はツアーオペレーターと協力したプロモーション事例を説明し、「カナダで何が体験でき、そのプロダクトでいかに感動し、どんなに夢中になれるか」を旅行会社に伝え、体験の魅力を消費者に訴求していくいくことが重要だと述べた。

CTC日本地区代表のモリーン・ライリー氏  同氏は業界誌のインタビューに応え、「日本の旅行会社はリストを作るのはうまいが、エモーションを紹介するのは弱い」と指摘。デスティネーションをただ紹介するのではなく、そこでの体験と体験を通じて得られる感動を「ストーリーとして紹介してほしい。インパクトが違う」と訴えた。例えばナイアガラの滝では、滝に触れるほどの距離まで近づき、滝のパワーを感じることが可能。また、バンクーバーから20分のキャピラノ渓谷では、2000年前の先住民たちが眺めていたものと同じ温帯雨林の景色が楽しめるという。

 日本市場では現在48種類のSECを紹介しており、このうち30種類以上はすでに旅行会社がパッケージ商品に組み込まれているところ。今後も2ヶ月に1度4、5種類ずつ増やしていく考えで、ライリー氏は旅行会社に対し「カナダを違う方法でパッケージ化していかないと、CTCとしてもサポートしていくことは難しい」と述べ、「今まで売っているものを違った方法で売ってほしい」とアピールの方向転換を訴えた。CTCが提供するSECの動画や写真、ウェブサイトなどの積極的な活用を促していく考えだ。

レセプションの様子  また、SECを通し新しいデスティネーションやプロパティも訴求していく。カナダへの日本人旅行者数は1998年から2000年のピーク期は70万人台だったが、現在は24万人程度まで減少。ライリー氏は「日本人はリスクを嫌う。売れるから20年前からのアイテナリーで販売してるが、売れたとしても(日本人訪問者数は)数年間の3分の1程度」と懸念を示し、「新しい体験を紹介しないほうがリスキー」と述べた。

 同氏によると、ここ数年でFITの比率が高まっており、以前は5%程度だったが、2011年は20%以上に増加。「体験を求めてカナダを訪問するFITは、パッケージツアーに入っていないため自分で行く」傾向があり、レンタカーを利用したフライ&ドライブや、往復航空券と現地発着ツアーを組み合わせるケースが多い。ライリー氏は「FITが台頭することで、旅行会社の商品傾向も変化していくのでは」と期待を示し、引き続きウェブサイトやフェイスブックなどを活用し、FITにSECをアピールしていく考えを示した。